大切な人を見つけるお話【諸伏景光】

32話 ページ34

「風見！今なんて？」



声を荒らげてしまったことに気がついてすぐにボリュームを下げた



「男が2人と火傷を負った女性が1人」



火傷を負った女性




「分かった、今から向かう」



恐らくもうヒロの方にも情報は入っている頃だろう
ヒロだって感じたはずだ

きっと今思い浮かべている人物は同じ







月島Aだ







「すみません梓さん…病気の友人の病状が悪化したみたいで、病院まで行ってきます」



取り繕った苦笑い
纏った不安



それは伝染したようだ




「大変じゃないですか…！今すぐ行ってあげてください！」



本気で心配している梓さんに申し訳なく思いながら頷いた



「この埋め合わせは必ずしますので！！」



そう言って外に出た
傘を指している暇はない


どうしてこういう日に限って雨なんだ……





「あのっ…！！」



多分僕にかけられたであろうその声は、初めて聞くものではなかった



「真希さん…？」



月島Aの双子の妹だ
僕と同じく、雨に濡れていた



「何か……何かあったんですか？」



困った表情と震えるほど握った拳が目に入った
ゴクリと息を飲んだ
彼女に伝えてもいいのか……まだ月島Aと決まったわけではないし、危険な現場に彼女を連れていくわけには行かない



「必ず………」



自分の放った言葉があまりにも小さかったことに驚いて1度口を閉じた



「………必ず、Aさんを見つけてきます」



だからあなたは希望を捨てないで

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