大切な人を見つけるお話【諸伏景光】

20話 ページ22

Aの言葉が思い出せない
なんでこんな時に……



あの時Aはなんて言っていた？
あの時……



「くそっ……ほんとに俺は何も分かってないじゃないか…」



ぐっと歯を食いしばった




「おい、諸伏」



「ちょ、陣平ちゃん！？」



「なん、だよ……」



松田の右手が俺の胸ぐらを乱暴に掴んだ



「お前がここで諦めたら誰が月島を助けるってんだよ…お前の月島への思いはこんなもんじゃねぇだろ？







＿＿＿＿月島だって同じだろ」





『私、景光さんのこと大好きです…初めて大切な人って思えたんです』



微笑む彼女は…茶色い目をしていた



「っ………」




忘れていたはずのAの声が
失ったはずのAの色が蘇ってきた



松田がゆっくりと胸ぐらを掴んでいた手を離した




「やっとか、諸伏」



「あぁ、お前のおかげで目が覚めた」






キーボードに手をかけた





「松田、萩原、一つだけ言わせてくれ…



これは決して自惚れじゃないからな」



ニヤリと笑う二人の目を見た



I will never forget ＿＿＿.




彼女の書いた言葉を思い浮かべて
静かな部屋にキーボードを打つ音が響いた







"hiromitsu"






『Wellcome!』

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