ほくとを愛でる２

酒は百恋の長　後編（きょもほく） ページ2

「…すきなひと…いるよー」

北斗の顔がポッと赤くなった。

「誰？教えて？」

「えー…言わない〜、ないしょ」

「なぁ、告白…しないの？」

「こくはくしないよ。むりだもん…いいのー。すきなたけでしあわせだから。見てるだけでいいの」

なんて顔するんだ…。
悲しそうな切ない笑顔を作りながら俺にそんなことを言ってきた。

「もう一回聞くよ、だれ？北斗の好きな人？」

「ないしょ、いわないよ」

泣きそうな顔してるじゃん！
聞くまで引き下がれないよ。

「北斗…？もしかして俺が知ってる奴？」

俺は北斗の手首を掴みサワーの缶を取り上げた。

「きょーもと？なんか…こわいよ？」

「北斗、『京本』じゃなくて『大我』って呼ぶんでしょ？」

「たいが？うで、いたいから…はなして」

「北斗、そんな切なそうな顔するなよ…俺にしなよ」

「へ…なにが？たいがぁ？…あ！」

「北斗が好きだよ。俺なら北斗をそんな悲しい顔させないよ！」

俺はたまらず北斗を抱きしめ、
今まで絶対に言えなかったのに…北斗に告白していた！



「えっ…うそ…？」

「うそじゃない。北斗が好きだよ」

「うっ…ヒック…ほんと…？たいが…ほんと？グスン…」

「北斗…泣かないで…ごめん！こんなこと突然…嫌だったよね、忘れて、ごめんね！」

北斗が泣き出し、俺は慌てて北斗を抱きしめてる手を緩めて、謝った。
泣くほど嫌だったのかぁ…。

「…なんで、あやまるの？やっぱりうそなの…？ほんとはすきじゃないから？！」

「違う！北斗が本気で好きだよ、それは本当…！でも泣かせちゃった…北斗、嫌だったんでしょ？ごめんね」

「ちがう、違うの！ないたのは…ちがうの。おれも、たいががすき…すきなの」

えっ…？
こんな奇跡みたいな事ってあるの？

北斗がギュッと俺に抱きついてきた。

「たいが…ほんと、だよね？」

「本当だよ、北斗がずっと好きだった。臆病で言えなかった…」

「ううん、おれもだし…よかった。うれしい…」

北斗がニコッと満面の笑みで俺の胸に顔をスリスリしている。

北斗…仕草まで可愛いなんて。
ほんとに罪な男だよ。
もう、こんなんじゃ我慢できないじゃん。

俺は北斗の顎をクイっと上げ、そっとその唇にキスをした。

「あ…」

触れるだけのキス。
だけど今の俺たちには十分なキス。

北斗の顔は真っ赤で、多分俺も真っ赤だ。

まだ照れがあり恥ずかしいけど、片思いが終わったその晩は、俺たちは手を繋いで一緒に眠った。

酒は百恋の長　おまけ→←酒は百恋の長　前編（きょもほく）

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