瞳を閉じずにキスをして 前編（きょもほく） ページ34
彼はいつもそこに座っていた。
彼の特等席。
図書室の勉強スペースの窓際の一番奥が彼の決まった席。
彼は放課後、いつもそこに座って勉強したり本を読んでいた。
物静か、真面目でクールで美人。
男に美人ってのも変な話だが、彼を一目見ればその表現がよく分かる。
そんな噂がある彼だったが、見ていると実に表情がくるくると変わり可愛いらしい人だと分かる。
校庭で部活をしてる友人を見つけたのか目をキラキラさせながらニコニコしていたり。
西日が眩しいのか、目を眇めて眉間に皺を寄せてたり？
読んでる本が面白いのか、声を噛み殺しながら笑ってたり。
たまにあくびなんかもしたり。
俺は色んな表情を見せる彼を可愛らしくさえ思い、俺はずっと見つめていた。
３年生になり、受験生である彼は図書室で勉強する時間が長くなった。
去年までと違ったことが一つ。
彼は勉強で疲れが溜まるのか、たまにうたた寝をする様になった。
ほんの少しの時間。
長いまつ毛で閉じられた黒い瞳。
少しの時間なのに深く眠ってしまうのか、近づいても微動だにしない。
触れてみたかった彼の黒髪をそっと撫でて…薄桃色に色付いた唇に自分のソレをくっ付けた。
キス。
触れるだけのキス。
彼の唇は柔らかくて甘い味がしたーーー。
彼に何度キスをしたかな。
彼はスリーピングビューティーの如く、
俺が側に寄って、髪を撫で、キスをしても一度も目覚めることはなかった。
でもそんな日も、今日でお終い。
俺も彼も今日でこの学舎を卒業する。
俺は卒業式が終わり、名残惜しげに集まる同級生の輪から一人離れ、図書室に向かった。
彼がいるわけないのは分かっている。
だけど最後に彼がいた場所だけでも、もう一度見たかったのだ。
そっと誰もいない図書室に入る。
そして、自習スペースに向かうとそこには居るはずのない彼が…居た。
机に伏せるように腕に顔をちょんと乗せて目を閉じて眠っていた。
神様も最後に粋なことをしてくれる。
俺は彼を起こさないように静かに近寄った。
最後だからーーー。
俺は椅子を引いて彼の隣に座り彼の寝顔を独り占めした。
.
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おゆまる(プロフ) - モモさん» 読んで頂いてありがとうございます(*^^*)じゅったんがずっと襲いたい気持ちを抑えていたのに…ほくちゃんたら！もう！(o^^o)ってお話が書きたくなりまして…またこれからも読んでいただければ幸いです。 (2020年10月11日 21時) (
レス) id: fbd0396cf8 (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - じゅりほくありがとうございます！誘惑するほくがかわいいし、ライオンみたいな顔になるじゅりがセクシーで良かったです！ (2020年10月10日 13時) (レス) id: 669285bc42 (このIDを非表示/違反報告)
はなはな(プロフ) - おゆまるさん» わかりました！ありがとうございます！ (2020年10月10日 8時) (レス) id: c5e4af03bc (このIDを非表示/違反報告)
おゆまる(プロフ) - はなはなさん» 初めまして！読んで頂いてありがとうございます(*^^*)フォロリク条件はDMでは受付けてないのです…ごめんなさい！ 自己紹介欄か位置情報欄に記載でお願い致しますm(_ _)m (2020年10月10日 6時) (レス) id: fbd0396cf8 (このIDを非表示/違反報告)
はなはな(プロフ) - 初めまして！いつもおゆまるさんの作品を読ませていただいてます！Twitterのことなのですが、フォロリクの条件は自己紹介欄に記載でないといけないのでしょうか、、？もし、DM等でもいいのでしたら、そうしたいなと思いまして、、無理は言わないです！ (2020年10月9日 21時) (レス) id: c5e4af03bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2020年6月20日 23時
