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俺はαの両親から産まれた生粋のα。
当然、αとしての教育を幼い時から受け、高校もαだけが入る学校に入った。
そこで見つけた一人のΩ。
Ω検索サイトの使い方の授業でたまたま見つけたΩに釘付けになってしまった。
【松村北斗、男性、18歳、ランクCのΩ】
CランクΩか…と言うことはβ同士の親から産まれた珍しいΩか…。
黒髪、黒瞳で少し憂いを帯びた美人Ωに本能が騒いだ。
このΩはお前の運命！絶対に離すな！と…。
まだ検索システム内に彼のデータが入っていると言うことは、彼にはまだ『番』は居ないってことだ。
Ωは18歳になると自動的に『番』を決めさせられてしまう。
データを見れば彼は今17歳。
間もなく18歳になるではないか！
俺は慌てて先生の元へ走った。
まだ16歳の俺には『番』になる権利はない。
だけど、ダメで元々だ！
偶然にも、今日、彼を発見できたのは幸運としか思えなかった。
今なら、まだ間に合うかもしれない。
彼を誰にも渡したくない！
何としてでも…俺の『番』にしたかった。
そんな風に画面越しに、しかも一方的に出会った北斗に『番』になれる歳でもないのにアタックしたのが2年前。
本当は俺の履歴書は条件外の為、北斗の目に触れる前に廃棄されるはずだったのに、手違いで北斗の目に止まった。
そして何故か俺を気に入ってくれて…北斗は俺が18歳になるまで待っててくれる事になった。
北斗とは『仮の番候補』と言う特殊な立場になり、会うことは叶わなかったけど、手紙のやりとりだけは年に数回だけ許された。
北斗と会うことができるのは、俺が18歳になった時。
その時、北斗と『番』になれるか…決めることができるのだ。
北斗は高校を卒業した後、大学に進学した。
Ωは18歳と同時に『番』を作り、家庭に収まるのが普通だから北斗の大学進学は珍しい処遇だった。
そしてーーーやっと俺は今日18歳になる。
ついに北斗に会えるのだ！
俺は12本の青い薔薇の花束を持って北斗に会いに来た。
待ち合わせ場所のカフェ。
店に入っただけで見なくともどこに北斗がいるか分かった。
窓際に真っ白なセーターを来た人が俺に背を向け、1人で座っていた。
その人から、ほんのり優しく甘い匂いがしてきた。
あぁ…あの人が北斗だ…！俺の番！
俺は迷わず、真っ直ぐその人に向かう。
そして、
「北斗…！」
声を掛ければ、すぐに振り向くその人物は2年前より、更に美しく透明感を増していた。
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月23日 14時
