あなたと出会えた奇跡を（green・オメガバ） ページ39
「えっ…Ω…？本当に…Ωなんですか…？！」
15歳で受ける全国一斉のバース検査の結果は…『Ω』だった。
背も高く、運動もでき、成績も良かった俺は周りから絶対に『α』だろうとずっと言われてきた。
だけど俺は、『α』なんて特別なバースはあり得ないなと思っていた。
両親も『β』だし、自分のバースは人口の中で一番多い『β』だろうと勝手に思っていた。
それなのに…まさか『Ω』との診断結果に、家族も周りの人達も俺自身も驚き慄いた。
それは、俺の運命が180度変わることを意味していたから。
Ωと判明した者は、すぐに『Ω』しかいないΩ専用の学校に行かねばならないことを意味していた。
Ωは世界人口の0.1%しかいないーーーαより希少な保護対象であった。
バースがΩの者は、Ωと判明した時点から18歳まで国で保護することになっていた。
Ωの教育、保護を目的とし、後々相応しいαと『番』にさせるのだ。
不幸な事故に遭わないようにと、厳重に大事に守られていた。
俺は自分のバースが判明した15歳の春から全寮制のΩ学校に行き、Ωとしての教育、知識、を徹底的に施された。
そして、あっという間に3年が過ぎていった。
俺はーーー今月、18歳を迎えようとしていた。
Ωは18歳になると『番』を決める。
これは国で決められた事で、ヒートが来てないΩも『番』を決めなければならなかった。
だから…俺も…
まだ、ヒートが来てない半人前の俺も『番』を決めなければならなかった。
そして今日は『番』候補を選ぶ日。
先生から見せられたファイルの中の履歴書からαを選ぶのだ。全員18歳以上でαの中でも優秀な人物ばかり。
希少なΩを守るためには大人である18歳以上のαで、αの中でも更に優秀な者であることが義務付けられていた。
ファイル内のαはすでに俺の写真やプロフィールを見て、俺を気に入り、俺の番候補にと立候補してきている者だった。
だから、このファイルの中の人を選ぶとお見合いが自動的にセッティングされて、何度か会ったのちに正式に番うのだ。
俺はファイルを一枚一枚捲って見ていくけど…どうにもこうにも、どの人もピンとこない。
先生「松村、どうだ？気になる人はいるか？」
「ん〜〜…」
先生に問われるも、なかなか決められない。
どうにも、このファイルの中の人達は『違う』って自分の中の何かが訴えかけてるようだった。
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月23日 14時
