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「ジェシー…もう少し…隣にいて…」
「ん…？甘えん坊になっちゃった？」
ベッド脇の椅子ではなく、ベッドに腰掛けて北斗をゆっくり抱き寄せる。
北斗の甘い匂いは昔から変わらない。
でも以前より少し体温が高く、温かいぬくもり。
「うん…なんとなく。明日が来るのが楽しみで嬉しいのに…なんか急に不安で…」
北斗は俺のシャツをそっと掴んだ。
「大丈夫、俺も明日はずっとそばにいるよ。だから安心して？」
「うん…」
俺は細身の北斗からは、考えられないくらい大きくふっくら膨らんでいるお腹を撫でた。
「赤ちゃん、明日は元気に産まれてきてね？マミーもダディーも待ってるから」
優しく優しく、お腹を撫でる。
まだ見ぬ君だけど、ダディーはもう君を愛してるんだよ。
この思いはベビーに伝わってるだろうか？
「ジェシー…」
「ほくちゃんも、長い入院生活頑張ったね。明日も手術だから体に負担がかかるよね。ほくちゃんばかりが大変で…俺は何もしてあげられなくてごめんね」
「そんなことないよ！ジェシーがたくさん支えてくれたから俺は妊娠期間、頑張れたんだ。だから…明日も頑張るよ」
「ほくちゃん…」
「でも、でもさ…、帝王切開したらお腹に傷が残っちゃうんだ。ジェシーがいつも俺の肌が綺麗だって褒めてくれてたから…傷が残っても嫌いにならない？」
へ？そんなこと気にしていたの？
結婚して8年も経つのに、君はいつまでも付き合いたての初々しい恋人のようだね。
「バカ、ほくちゃん…変わらないよ。俺がほくちゃんを愛する気持ちは、ほくちゃんの肌に傷があろうが無かろうが変わらない。
俺たちの可愛い赤ちゃんを命懸けで産むほくちゃんのお腹の傷はむしろ愛すべきものだよ！
そんな事で不安にならないで？ね？」
「ジェシー…」
涙ぐんでるほくちゃんの目尻にキスをする。
「さあ、ほくちゃん、少し休まないと。明日は朝から来るからね、今日はもうゆっくり休んで？」
ほくちゃんにお布団を掛けてあげた。
「うん…ジェシー…また明日ね」
「また明日！」
明日のこの時間はきっとこの部屋には3人になってるはず。
俺と、愛しの妻と、最愛のベビーと…！
明日のこの時間に思いを馳せ、俺は北斗の頬にキスをして仕事に向かったのだった。
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あなたと出会えた奇跡を（green・オメガバ）→←ある夫婦の何気ない1日（red）
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月23日 14時
