Sweet × Sweet 2 (ページ21)

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「北斗…そのお腹…もしかして…」

「俺、妊娠してるの」

「…結婚は…？」

「もちろんしてる。結婚指輪は浮腫むから外してるの」

「旦那は…何してる人？」

「普通のサラリーマンだよ」

「……」

慎太郎は無言になった。

「だから…ね、わかるでしょ？慎太郎と連絡取らなくなった理由。…年若くてエリート御曹司の慎太郎が突然、工場に現場視察だなんて来たもんだから、あの時は魔が差したって言うか、ちょっと遊んでみたかっただけなんだ」

慎太郎の顔が険しくなる。

こんな話を聞けば軽蔑するよね。

でも、いいんだ。それで。

慎太郎には相応しい人と幸せになって欲しいから。

俺との一時の過ちに溺れないで欲しい。

慎太郎からは、もう一生分の幸せをもらったから。

「今は、もう…旦那もいるし妊娠中だし、今更、慎太郎に来られても困るんだ。帰ってくれないかな？」

「…北斗、幸せ？」

「…へ？」

「今、幸せ？旦那さんは…北斗を幸せにしてくれてる？北斗を愛してくれてる？ひとりぼっちにしない？」

「…し、あわせ…だよ…、愛してくれてる…」

嘘。

嘘だ。

でも…これは必要な、嘘。

「そっか…分かった。じゃあ…ね、北斗…」

慎太郎はそう言ってドアを閉めて、静かに出て行った。

「うっ…ううっ…ひっく…」

閉められた玄関ドアに縋り付くように俺は泣き崩れた。

慎太郎、慎太郎…慎太郎…！！

会いたかった。

本当は、ずっと会いたかった。

でも、住む世界が違う。

身分が違う。

最初から分かっていただろ？

慎太郎は手が届かない相手なんだって。

「慎太郎…好きだよ…ヒック…慎太郎…ずっと忘れないから…俺はこの子と2人で慎太郎を想いながら生きてく…。
だから慎太郎は、慎太郎に相応しい人と幸せになって…」

「…ねぇ北斗、3人で生きていけば良いじゃない？」

「へ？！」

頭の上から突然聞こえてきた声に驚いて顔を上げれば、そこには出て行ったはずの慎太郎の姿があった。

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