臆病なプロポーズ（blue） ページ15
北斗が隣で疲れ果てたのか、眠っている。
久しぶりに北斗と愛し合った。
本当に久しぶりだったから激しく求めすぎて、北斗を抱き潰してしまった。
弁護士の俺と、医師の北斗。
出会ったのは大学三年生の春。
たまたま人数合わせの合コンで一緒になった。
目の前に沢山いる綺麗なお姉さんではなく、隣に座った野暮ったい眼鏡の男に惹かれるなんて…今思えばきっと運命だったのだ。
隣に座った野暮ったい眼鏡は、バカがつくほど真面目な奴で、合コンだって言うのに女の子には目もくれず、隣に座った俺に勉強の事や将来の夢を熱く語ってくれた。
合コンなのに、ヤローの俺とばかり話す面白い奴だなって思って見ていれば、酔っ払った赤ら顔で、ふと眼鏡を外し長い前髪を上げた彼は信じられないほどの美貌の持ち主だった。
自分の容姿に全く無頓着な北斗。
そんな抜群な美貌など全く気にせず、理想を語り、目標に向かって頑張ってる姿に…まあ、一目惚れしたのだ。
俺からの激押しで恋人になった俺たち。
大学を卒業し、お互いに国家試験も合格。
仕事が始まり、当然、忙しい日々。
3、4ヶ月会えないなんて当たり前で。
だけど北斗とは絶対に別れるなんて考えたこともなかった。
お互いに仕事が忙しくてなかなか会えないのが現実でも、どんなに忙しくても毎日必ず連絡は取り合った。
たとえそれが、LINEで「今日も元気か？」の一言だけでも彼が毎日元気でいる事、ちゃんと俺のものである事の確認が出来るだけで俺は仕事を頑張れた。
眠っている北斗の少し汗ばんだ、でもサラサラな黒髪を撫でる。
「なぁ北斗…そろそろ結婚しないか？」
北斗はぐっすり眠っていて絶対に聞こえないのに俺は呟く。
「お互いに忙しいけど…幸せにするよ」
北斗が今、仕事に夢中で結婚なんてそれどころではないのは知ってる。
君が聞いてないのを承知でプロポーズ。
意気地無しの俺は、北斗からプロポーズを断られるのが怖いのだ。
北斗が聞こえてないからこそ、言える言葉。
「北斗…愛してる…」
そっと北斗の手を握り、指を一本ずつ絡ませて、眠ってる北斗には聞こえないけどけど告白する。
シンプルに俺の君への気持ちを口にする。
「…………うん……結婚、…する…」
「は？え…？な、なんで？！お前、起きて…！」
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月23日 14時
