死が2人を別つまで（yellow） ページ42
相棒が突然、会社を辞めた。
納期の迫った、危機迫る状況で新しい相棒だと上司に連れられてきた新入社員が北斗だった。
最初は、見た目だけ綺麗な若手をこんなクソ忙しい時期に押し付けられて参ったな、なんて思っていたけど…彼は予想以上に出来る男だった。
そして北斗は、外見も綺麗だったが中身が本当に純粋でいい男だった。
仕事での信頼関係が構築される中、プライベートでも北斗と段々と仲良くなって行った。
俺の北斗への思いが、後輩から友人…特別な存在へと変わって行くのは必然だった。
そして、それは俺だけでなく北斗も同じだった。
そんな北斗と一緒に住むようになってちょうど一年。
他人と一緒に生活をするっていうのに、一度も喧嘩なんてしたこともなくて。
お互いを尊重しながら、でも毎日北斗がいるだけで本当に楽しくて。
お互いの存在が、なくてはならない存在となっていた。
今日は夕食の買い物をした帰り道、ちょっと遠回りをして北斗とゆっくり土手沿いを歩き沈む夕陽を見つめていた。
お互いの片手には買い物袋。
もう片方の手は愛しい人と繋がっている。
何気ない日常。
幸せな日々。
「今日はいいお肉が安く買えてラッキーだったよね。今夜のすき焼き楽しみだね」
ニコニコしながらそんな何気ない幸せを語る彼は本当に綺麗だ。
「ねぇ北斗…ずっと、ずっとお前と手を繋いでいきたいな…」
「へ？何を急に？」
目を丸くして「変な高地」って言いながら笑う君がたまらなく愛おしいんだ。
誰にも渡したくない。
俺だけの北斗。
「だから、ずっと一緒に居たいってことさ」
死ぬまでずっと一緒に居たい。
本当は、死ぬときは同時がいい。
だけど、神様が決めた寿命。
そんな最高な最後が迎えられるとは限らない。
だから、せめて。
お互いがお互いの最後を看取り旅立ちたいと思うのは俺のエゴだろうか？
「ずっと俺と一緒に居てくれるのは高地しかいないでしょ？俺の手を離さず繋いでてくれるのは高地だけだもん…」
「北斗…」
「何が不安なのか分からないけど…俺は高地しか俺の隣にはいらないんだ。高地だけいれば十分」
あの日、偶然にも北斗と出会えた幸運をくれた神様には感謝しかない。
「それなら、死がお互いを別つまで…俺と一緒にいてくれますか？」
俺の言葉を聞いて、北斗は驚いた表情を見せたが直ぐに綺麗に輝くように笑った。
「もちろん。死が俺たちを別つまで…一緒にいてください」
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月18日 21時
