・ ページ39
「…高地、俺さ、欲しいものがあって…」
しばらく北斗はじっと考え込んでいる風だったけど急に口を開くと、唐突にそんな事を言ってきた。
「ん？なに？」
「小さくてもいいから、お庭がついてる一戸建のお家」
そんな事、知ってるさ。
北斗は庭いっぱいに花を植えたいんだよな？
「俺ね、庭いっぱいにお花を植えたいんだ」
やっぱりね。
「あとね…」
まだあるのか？
「俺と一緒に年を取ってくれる…旦那様。その旦那様と俺が育てた花を一緒に眺めていきたい。俺を…10年も側で守って支えてくれた人に旦那様になってほしいなって。俺…高地と一緒におじいちゃんになりたい…」
「北斗…！！」
俺は思わず北斗を抱きしめてしまった。
「わぁ！高地…苦しいよ…」
「北斗…ありがとう…！ずっと一緒だから…」
「うん…！」
「ずっと一緒にいようね」と言った北斗は今まで見た中で一番綺麗に微笑んでいた。
俺たちは家を買った。
新しい家は、小さいけど日当たりの良い庭がついている家だ。
俺の愛する人は『花』と『鯛焼き』が好きで、庭いっぱいに花を育てて、季節ごとに綺麗な花を咲かせていた。
俺は休みの日には愛する人の大好物の『鯛焼き』を必ず買ってくる。
そして鯛焼きを仲良く半分こして食べながら、愛する人が育てた美しい庭を一緒に眺めることが俺の幸せな日課となったのだ。
「高地と食べる鯛焼きはやっぱり最高に美味しいね」
あんこを口の端にくっ付けながらそう言って笑う北斗は、食べてしまいたいくらい愛おしかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 807人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月18日 21時
