自信のない君へ（red） ページ36
それはダンスレッスン中の出来事だった。
俺の斜め前のポジションで踊っていたほくちゃんの体がゆらゆら揺れてる。
あ！って思った瞬間にほくちゃんは倒れた。
ほくちゃんが崩れ落ちた瞬間がまるでスローモーションのように見えて、慌ててほくちゃんの元に駆け寄った。
自分も倒れ込みながら、間一髪でほくちゃんを支え、なんとか頭だけは床に叩きつけられるのを防ぐ事が出来た。
「ほくちゃん！！」
倒れたほくちゃんはすでに意識はなく、そのままメンバーに促され俺はマネージャーと一緒にほくちゃんを病院に連れて行く事になった。
「ん…ジェシー…？…ここ、どこ？」
「ほくちゃん…！」
一通り検査を終え、ベッドで眠っていたほくちゃんが目を覚ました。
「ここは病院だよ！ほくちゃんはレッスン中に倒れたんだよ！」
「へ？…そ、そうだったんだ…ジェシー付いてきてくれたの？ごめんね…」
眉を下げて、すまなそうに謝るほくちゃん。
「俺こそ…もっと早くほくちゃんの調子悪いことに気付けばよかった…最近、食欲無かったのは知ってたのに…」
ずっとご飯を食べたくないって言ってたほくちゃん。
そう言えば、最近やたら疲れて眠たいって言ってた。
なぜその時に、もっと注意深くほくちゃんのことを見てあげなかったのか！
俺はほくちゃんの手を取り強く握りしめた。
ごめんね、ほくちゃん…！
倒れてしまうまで…無理させてしまった。
分かっていたのに。
ほくちゃんが誰にも弱音を吐かずに頑張りすぎてしまう人だって。
俺がちゃんと見ていなくちゃいけないのに…！
ほくちゃんは…ほくちゃんは、
俺の大事な、かけがいのない人なのに…！！
コンコンコン！
医「松村さん、入りますね！」
小さなノックと共にお医者様が部屋に入ってきた。
医「松村さん、検査結果が出ましたよ」
ジェ「先生、北斗は…どうだったんですか？！大丈夫でしたか！」
医「特に異常は見られませんでしたが…ただ…」
ジェ「ただ？…先生、北斗に何かあったんですか？！」
ほくちゃんの事となると、ついつい前のめりで先生に食いつく様に聞いてしまう。
医「松村さん…こちらの方がいる前でお話しても大丈夫ですか？」
北「はい…大丈夫です。先生、俺…何か悪いところがあったのでしょうか？」
医「悪いところはありませんが、少し貧血ぎみですかね…。松村さん…松村さんは現在妊娠してますよ」
北・ジェ「「へ？…にん、しん…？！」」
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月18日 21時
