一生一緒（yellow・オメガバ） ページ31
「北斗…一人で泣かないでって何回も言ってるでしょ？」
「な、泣いてなんかいないもん…グスン…」
泣いてるのはバレてるんだよ。
ほら、鼻水を啜ってる音が聞こえてるじゃん。
営業の外回りから帰って来て、北斗がいる経理の部屋を覗いたらいなくて、もしやと思い屋上に来てみればやっぱり北斗は一人で泣いていた。
俺が来たことに気づいた瞬間、クルリと背を向けてしまい泣いてる顔は絶対に見せてくれないのだ。
「今日はどうしたんだ？」
「…高地…やっぱりさ、Ωってみんなに迷惑かけちゃうんだよね…」
「ん？誰かに何か言われたのか？意地悪されたのか？」
「ううん、みんな優しいよ。でも俺さ…ヒートがくる度に一週間もヒート休暇貰って…仕事も中途半端で、いつもみんなに迷惑かけちゃうなって改めて思ったら情けなくて…グスン…」
Ωは男性でも体力が無かったり、ヒートがあるのは仕方ない事。
北斗はそれでも『仕方ない』に甘えることはせず、極力周りに迷惑をかけないようにいつも気を使い、遅くまで残業して仕事をこなしていた。
日々神経をすり減らしているんだよな…。
「みんな、そんなこと気にしてないよ。北斗がいつも頑張ってるの知ってるから」
「そう…かな…」
「そうだよ」
ゆっくり北斗の隣に並び、肩を抱き寄せる。
「ごめん…もうすぐヒートが近いから…情緒不安定なのかもしれない…」
北斗の手は冷たい。
それは、いつも北斗が緊張しているせいだと思ってる。
それくらい北斗はいつも気を張り詰めて生活しているのだ。
冷たいその手で北斗は目元をゴシゴシと拭っていた。
俺が…その冷たい手の代わりにお前の涙を拭ってやりたい。
俺の手で温めてやりたい。
北斗ととは高校、大学、就職先まで一緒。
バースはαとΩと違いはあったけど、俺たちはずっと友達として一番近い存在だった。
だけどね、俺は違うんだよ北斗。
北斗を守りたいんだ。
俺の中では『友達』なんて言葉はもうずっと前に卒業してるんだ。
お前は俺の一番大切な人なんだよ。
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月18日 21時
