Sweet × Sweet (ページ20)

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「俺の名前は…？」

「……た、い…が…」

「そう、よく出来ました」

「…やだ…もう…もう…俺…」

唇を噛み締めながら、ポツリ、ポツリと話し始める北斗。

「何が、嫌なの？」

「俺だけが…京本のこと、好きなんだもん…。
京本は好きな人いるのに…結婚なんて、出来ない！
だから…もう、やだ…もう抱きしめないで…！キスもしないで…！」

頭が良いくせに、自分の事になると途端に何も見えず分からなくなる北斗。

こんなに分かりやすく伝えているのになんで分からないんだろうか。

鈍感すぎる北斗が愛おしく、絶対に手離すなんてできない。

「また『京本』って言った。『大我』だろ？北斗は本当に物覚えが悪いよね、だから結婚早めようか。絶対に『京本』って呼ばないようする為にね」

「や、やだ…やだよ…！お願い…結婚なんてやめようよ…」

「やめない。結婚はする。北斗は余所見しないで婚約者の俺だけを見てればいいんだからね」

「…京本…！」

「『大我』だろ？…そんな泣きそうな顔しないの。仕方ないから馬鹿な北斗に分かりやすく教えてあげる」

眉間に皺を寄せ、眉を下げ、今にも泣き出しそうな北斗の頬を優しく撫でて触れるだけのキスを与える。

「俺はね、ずっとずっと好きだった人と結婚するんだよ。物心がつく前から彼の婚約者でいられてラッキーだったよ。
彼は何故か俺に好かれてないって思い込んでてさ、俺と一線を引くために、俺に深入りしない為に名前を決して呼んでくれず、苗字の『京本』としか呼ばなかった。
寂しかったけど、今思えばそれで良かったのかもしれない。
彼に可愛らしく『大我』って呼ばれ続けていたら、我慢できずにもっと幼い時に犯して、閉じ込めて、俺に縛り付けていたかもしれないから。
だけど、もう俺たちは18歳になった。
なあ、北斗、もう我慢はしなくてもいいよね？」

「…きょ、も、と…？」

「北斗…ずっとずっと好きだよ。好きに決まってるでしょ。好きじゃなきゃ婚約なんてとっくの昔に破棄してる。
俺に愛されてるのに気付かない北斗が、世界で一番好きだよ。
だから…早く結婚して北斗も『京本』になって」

目をまん丸に見開いて俺を見つめる北斗。

「もう俺を二度と『京本』とは呼ばせないから。北斗も『京本』になるんだからね？分かった？」

「た、大我…！…」

大粒の涙を零してながら、やっと自ら、俺の名を呼んだ北斗を俺は囲うように強く抱きしめた。

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