囚われた姫（red） ページ16
「俺のほくちゃんは本当に綺麗だね」
ジェシーからそう言われると何故か身動き出来なくなる。
しかし、実際の俺は綺麗ではない。
なのにジェシーは会う度に綺麗だって言ってくる。
重たい黒髪、度の強い瓶底眼鏡。
インドア派だし友達だってジェシーだけしかいない陰キャラな俺。
そんな俺とは真逆で、カッコよくて明るく朗らかで誰からも好かれ、友達だって沢山いるジェシー。
そんな彼が何故かいつも俺の側にいてくれた。
親友だって思っていいの？
「ねぇジェシー、友達に”綺麗“とか言うの変だからね？」
ジェシーにそう言えば、あははって太陽のように笑いながら、俺は正直者だからね。っていつも言うんだ。
そして必ず、毎日の様に、
「ほくちゃん、約束して、俺以外の人の前で眼鏡を取ったらダメだよ？いい？」
ジェシーは俺にそう言ってきた。
なんで眼鏡を取ったらダメなのかは、ジェシーの目があまりに真剣で…怖くて聞けなかった。
ある日、目に異物が入ったみたいで、眼鏡を取って目をゴシゴシしながら教室内を歩き、ジェシーの席に向かった。
なかなか取れない異物。
ジェシーに目の中を見てもらおうとしたら、ジェシーから抱きしめられるように抱えられ教室から連れ出された。
「ほくちゃん、教室で眼鏡取っちゃダメでしょ！」
いつも言われてる。
眼鏡をみんなの前で取ったらダメって。
でも、今日は目が痛かったんだよ。
それでもダメなの？
「ご、ごめん、でも目が痛かったから…」
「俺だけの前ならいいけど、他人がいるところでは絶対眼鏡取ったらダメ！」
「う、うん…ごめん…」
「ほら、目を擦り過ぎ。真っ赤だよ。見てあげるからちょっと上向いてごらん？」
俺より背の高いジェシーに痛む目を見てもらう為、少し顔を上に向ける。
すると、ジェシーが目を眇めて眩しそうにジーッと俺を見つめていた。
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月18日 21時
