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彼を調べたらすぐに分かった。
名前は『松村北斗』
黒髪の綺麗な美人Ω。
彼のフェロモンは弱いが、清楚な百合の花の匂いが美しい彼にはピッタリだった。
毎日、北斗が渡り廊下を通るタイミングで俺もそこに行きフェロモンを当て続けた。
これだけフェロモンを当てていれば互いに運命の番だと分かるはずなのに…！？
なぜか北斗は俺が運命の番だと分からないようだった。
しかも、いつも俺のフェロモンを感じると身を固くし怯えて逃げてしまう。
諦めないから…！
俺は北斗を番にするまで、
彼が気付くまでいつまでも待つ覚悟はしていた。
そしてーーーチャンスは３ヶ月後にやって来た。
北斗を腕の中に一度でも抱きしめたら…もう手離すことなんか出来なかった。
最初は身を固くして怖がっていた北斗だったが、俺のフェロモンを直に感じて、やっと俺が運命の番だと気付いたのだ。
俺の腕の中で甘い百合の花の匂いを放つ北斗は、俺だけのΩだった。
あぁ、北斗のフェロモンが濃くなってきてる。
北斗のヒートはあと2、3日もしたら始まるだろう。
この匂いを俺以外のαには知られたくなかった。
「なぁ北斗…次のヒートに『番』になろうな？」
「樹…」
彼の口から甘い声で『樹』と、呼ばれるだけで幸せな気持ちになる。
北斗を抱きしめ、まだ『番の証』がない真っ白な首筋を撫でる。
「うん…『番』になる。俺…樹しかヤダもん…俺のα…早く噛んで…」
運命の番に『噛んで』と言われ、俺の中のα性の全てが歓喜に震えた。
「俺の最愛、俺の唯一のΩ…！俺にはお前だけだ北斗…」
一段と濃厚な匂いを纏いながら、北斗は俺の首に抱き付いて優しくふんわりと幸せそうに笑った。
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作者名：おゆまる
| 作成日時：2022年1月18日 21時
