俺と可愛いケダモノ

ため息しか出ませんから。 ページ10

ぎゃーーー！！！


京本大我が去った後の、その後のうちの教室の有様ったら…もうそれはそれは酷いものだった…。

悲鳴が飛び交い、気絶する人も…。
廊下も同じ状態。

俺の周りは、遠巻きにみんなが俺を囲んで…見てる…俺、見られてる…。

はぁ…
京本大我…やってくれたな…。

唯一の救いは、みんなが話しかけてこない事。

まあ、俺、自分で言うのもアレだけど暗いし。
クラスで樹以外とはほとんど喋る事ないから、話したこと事ない奴らの方が多いくらいで。

でも自分を見ながら、他人にヒソヒソ話されてるのはいい気持ちしない。


「北斗〜！！」

樹が周りの人垣を押し退けて、俺のそばまで来た。

「樹…」

「北斗、お前、いつの間に、あの京本大我様と仲良くなってたのよ！？３年の、あの有名な京本大我様がうちのクラスにきて、北斗を抱きしめてるじゃん！！俺、ビックリしすぎて絶句だったよ！」

「あ…昨日、襲われかけた時に助けてもらっちゃってさ…。ちなみに、抱きしめられてなんかないからな！転びかけて支えられただけだ。変な風に言うなよ」

「分かった分かったよ。なるほどなぁ…昨日の件で仲良くなったのか。まあ、助かったし、有り難かったんじゃないの？昨日はマジで危なかったんだろ？」

「まーね、でも…」

こんな大騒ぎになるなら助けてもらわなくて良かったよ…。

ため息しか出ない。

今も樹と話してる俺を興味津々で周りはジロジロと見てるし。

「なあ、京本大我様、北斗の処女は俺のものだから手を出すな！って言ってなかったか？！」

「バカバカしい…そんなのあり得ないだろ？男の俺に処女って…そんなデタラメな話を鵜呑みにするなよ」

「そうかな…。なんか、京本大我様…笑っていたけど、目がマジで…俺はなんだか怖かったけど…」

「はいはい、もう、この話はおしまいな。ほら、ちょうど昼休みおしまいじゃん」

強制的に話を終わらせて、樹を席に着かせ俺も席に座り直した。

もう…参ったな…。

これじゃあ、今日の午後の授業は、授業にならないよね。

クラスの3分の１が倒れたり、具合が悪いって保健室行き。
残りは、授業なんて誰も聞いてないし。
ザワザワ騒がしい教室では俺を見ながら、皆んな気もそぞろにヒソヒソ話が止まらない。

針のむしろだ…。

どうしてくれるんだ…京本大我…！

授業が始まってからも、チラチラと何度も後ろを振り向き、俺を見てくる樹を無視しながら、明日からの自分の境遇にため息しか出なかった。

憂鬱な朝→←平和な日々は終わりを告げた…

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