俺と可愛いケダモノ

犬に噛まれたと思って忘れましょう！ ページ18

帰宅して、直ぐに自分の部屋に直行しベッドに寝転んだ。


なんだか…凄く疲れた。


「はぁ…」


大きくため息を吐きながら天井を見つめ、俺は無意識に唇を触っていた。



俺、キス…したんだ…。

キス、しちゃったよ…。



キスって、ただ唇をくっ付けるだけじゃなかった。

キスって、あんな風に舌で口内を舐められたり、舌を吸われたりするんだ…。



思い出すだけで顔が熱くなる。



しかもさ、京本って…、


キスに慣れてた…。



京本とのキスにいっぱいいっぱいだった俺だけど、それは頭の片隅で感じていた。




歳なんて一つしか違わないのに…俺と全く経験値が違った。


「やっぱり…噂通りなんだ。取っ替え引っ替えしてる奴は違うのな…」


気になる子には手を付けて、摘み食いし放題って噂はやはり本当なんだって思った。

そうじゃなければ、昨日会ったばかりの俺に突然キスなんてしないよね？

俺は決して小柄ではないし、可愛くもない。

何が京本の気を引いたのか分からないけど、「俺と付き合え」とか「抱かれろ」とか変な事ばかり言ってくるし…。

奴の気まぐれに巻き込まれるこっちは、たまったもんじゃないよ。


俺は京本みたいに、遊びや気まぐれでキスなんてできないし、とりあえず、明日からは無視だ、無視しよ！

今日、京本とキスした事も犬に噛まれたと思って忘れてしまおう！



あぁ、同じ学年じゃなくて本当に良かった。



学生手帳は返してもらうのは諦めて再発行してもらえば奴とは会わなくてすむし。

一方的に約束を取り付けられた水曜日と金曜日の昼も無視できる。


そうと決まれば、もう気にするのはやめよう！


アイツとのキスは事故だと思えば、どうってことない。

俺、次は、ちゃんと好きな人とキスするんだ…！

…今日のことはお風呂で洗い流して忘れよう。

俺はそう自分に言い聞かせてベッドから起き上がり、唇をゴシゴシ拭いてお風呂に向かった。





…そんなこんなで、今日の俺は他の事を考える余裕は全く無かった。

だからお風呂から上がりそのまま寝てしまった俺は、電源を切っていたスマホのことなんて全く思い出さなかったし、もちろん、京本から何件ものLINEが入っているなんて知る由もなかった。



翌朝登校して京本に会ってその衝撃的なLINE内容を知らされた時には、目眩しかしなかった。


俺を京本に縛り付ける事になる衝撃的なLINE内容…。



数時間後にそんな事になるなんて…今の俺は微塵も思っていなかった。





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昨日を引きずる小心者の俺→←LINEの相手はまさかのアイツ。

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