甘くて美味しい

タイミング ページ10

北斗と一緒に帰ってる。

たぶん北斗が中学生の頃以来だから10年ぶりくらいで2人で帰ってるんだよね。

俺のちょっと後ろを歩いてる。

互いに会話は全くないけど、居心地は悪くない。
北斗の気配を居心地良く感じてる自分がいた。


北斗はとても綺麗になった。
綺麗な大人になった。

そして、異常ほどの色気を放つようになった。


人は俺のことを綺麗だ綺麗だと言うが、北斗の美貌は俺の綺麗とは全く質が異なる。

北斗は今夜の月のような美貌だ。

優しくまろやかで…色っぽい。

満月でもあり三日月でもあり、新月なときもある。
時として変化する変化球な美貌だ。
だけど匂い立つ様な色気はいつも纏っている。


北斗本人は、それに気がついているのかいないのか…北斗は無防備な瞬間が多々あるんだよ。

俺がハラハラするくらいだから過保護な他のメンバーなんかはもっとハラハラしてるだろうな。

ゆっくり歩いていたのに…もう駅についてしまった。

「京本、お疲れ様。また…ね」

北斗がそう言って離れて行こうとしたから、思わず、北斗の手を掴んでしまった。

俺から離れてるな！って俺の中の何かがそう言ってるみたいだった。

「あ…メシ…食べない？」

「え！…あ、うん、そうだね…食べる」

北斗は戸惑いつつも、俺と夕食を食べると言ってくれた。

まさかの北斗と夕食を食べることになった。

2人で夕食なんて…またまた何年ぶりなんだろうか。

俺はいつもメンバーでよく使う個室の居酒屋レストランをその場で電話してすぐに予約した。

北斗は俺の素早い行動に驚いてる感じだった。

いつもはこういうような予約とかは俺はあまりやらないから。

個室じゃないとゆっくり飯も食べられない。

デビューして嬉しい反面、ちょっと不便にもなった。

今日は北斗とゆっくり話してもいいのかもしれない。

こういうのは何かのタイミングだ。
きっと今日はそう言う日だったんだ。

北斗に聞いてみよう。
なんで俺から距離を置いたのか？
なんで離れたのか？

あと…

まさかお前もαダブルなのか？と。

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