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数日後、カンファレンスルームには医療スタッフが集まった。患者情報が映されたスクリーンの前で俺は話をすすめる。
sgi「患者は小林志保さん、27歳。先日交通外傷で救命に搬送されてきました。全身に外傷を認めましたが、特に頭部外傷がひどく、オペもしましたが現在脳死に近い状態となっています。ICUで生命維持装置を装着して全身管理を行っています。
また彼女は妊娠しており、旦那さんが胎児の救命を希望されましたので、本日カンファレンスをひらかせていただきました」
集まった医療スタッフは、救命・産科・NICUの3部署のメンバー。赤ちゃんがお腹の中で育ち、出産を迎え、生まれてきた赤ちゃんを管理する。そのためにはチームプレーが必要だった。
sgi「現在の状況については産科よりお願いします」
kwmr「小林さんは現在20週に入りました。胎児の推定は300g程度、今のところ先天的な奇形も見られず、事故による影響も胎児・胎盤ともに見受けられません。妊婦は脳死状態ですので分娩方法は帝王切開になります」
ko「え、20週ですか」
驚いた様子のこうちゃんの声を皮切りに、その管理の難しさからかざわつきが起こる。俺は議事をすすめるために再び口をひらいた。
sgi「NICUの方からは何かありますか?」
fkr「NICUとしましては救命の対象である妊娠22週をすぎればいつでも受け入れる準備をしておきます。
ですが20週前半での出生は赤ちゃんにとってのリスクがかなり大きいです。できれば出産は20週後半に入ってから、欲を言えば30週を過ぎてからであればより安全かと思います」
顎に手を当ててじっと話を聞いていた産科の伊沢先生が今度は口をひらいた。
izw「近年脳死の妊婦の帝王切開も事例が海外でありますが、長く管理して妊娠34週程度だったかと思います。我々のケースも34週頃での帝王切開を目指すのが妥当かと」
隣の河村先生も賛同するかのように静かに頷いた。
34週・・・あと3ヶ月以上。道のりは長い。
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Arisa(プロフ) - チーズさん» コメントありがとうございます。続編は波乱の展開となってますのでお楽しみに! (2020年7月31日 21時) (レス) id: 791f405f1a (このIDを非表示/違反報告)
Arisa(プロフ) - 山本瑞生さん» 感想ありがとうございます。少しでも皆様の心に残る作品でありたいと書いているのでとても嬉しいです! (2020年7月31日 21時) (レス) id: 791f405f1a (このIDを非表示/違反報告)
Arisa(プロフ) - レイカさん» くっつけることが出来て私も一安心です!続編もよろしくお願いします。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: 791f405f1a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - コメント失礼します…!いつも楽しく読ませて頂いています。今回のお話本当に最高でした!これからも楽しみにしてます! (2020年7月29日 2時) (レス) id: ceb60ad09f (このIDを非表示/違反報告)
山本瑞生(プロフ) - もう毎回泣きながら読んでいます!続編楽しみに待ってます! (2020年7月28日 21時) (レス) id: fd4f22733f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Arisa | 作成日時:2020年7月12日 18時