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izw「では、始めます。よろしくお願いします」
執刀医の伊沢先生の掛け声で手術が始まる。山本はやっぱり緊張気味の顔で手術を見守る。そんな彼に声をかける。
fkr「十中八九、挿管になると思うけど大丈夫。挿管は僕がやるから。山本は聴診よろしくね」
ymmt「はい」
偉くなりましたね、なんて言った山森の言葉が浮かんだ。伊達に長くいるわけじゃない、大丈夫。そう早まる心拍数を抑えるように深呼吸した。
izw「赤ちゃん出ます」
山本は赤ちゃんを迎えに行った。
izw「おめでとうございます!」
「13:22です」
生まれてきた赤ちゃんはやはり泣かなかった。
山本が蘇生台へと連れてきた赤ちゃんの羊水を拭う。
fkr「心拍数は?」
ymmt「100です」
fkr「マスクバック開始」
小さな顔にマスクを当て、人工呼吸を開始する。それでもやっぱり赤ちゃんは呼吸を始めない。
fkr「だめだ、挿管しよう。チューブちょうだい」
マスクを外し、喉の奥を見る。そっと慎重に喉へとチューブを進めた。
fkr「おっけ。入った。聴診して」
山本は胸を聴診する。
ymmt「呼吸音聞こえます。心拍数も上がってきました」
ひとまず、最初の蘇生は乗り越えた。
fkr「よし。じゃあお母さんに会わせて、NICUに」
保育器に赤ちゃんを入れ、母元へと移動する。
fkr「吉田さん、おめでとうございます。新生児科の福良です。かわいい女の子です」
母親は赤ちゃんの小さな手を握った。
「光、生まれてきてくれてありがとう」
涙を浮かべてその対面を喜んだ。
そう。18トリソミーは生まれてくることですら、一つの奇跡だったりする。
fkr「大切にお預かりさせていただきますね」
そう告げて、NICUへと赤ちゃんを運んだ。
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Arisa(プロフ) - チーズさん» コメントありがとうございます。続編は波乱の展開となってますのでお楽しみに! (2020年7月31日 21時) (レス) id: 791f405f1a (このIDを非表示/違反報告)
Arisa(プロフ) - 山本瑞生さん» 感想ありがとうございます。少しでも皆様の心に残る作品でありたいと書いているのでとても嬉しいです! (2020年7月31日 21時) (レス) id: 791f405f1a (このIDを非表示/違反報告)
Arisa(プロフ) - レイカさん» くっつけることが出来て私も一安心です!続編もよろしくお願いします。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: 791f405f1a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - コメント失礼します…!いつも楽しく読ませて頂いています。今回のお話本当に最高でした!これからも楽しみにしてます! (2020年7月29日 2時) (レス) id: ceb60ad09f (このIDを非表示/違反報告)
山本瑞生(プロフ) - もう毎回泣きながら読んでいます!続編楽しみに待ってます! (2020年7月28日 21時) (レス) id: fd4f22733f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Arisa | 作成日時:2020年7月12日 18時