【QK】生まれる！2【kwmr】

Karte8　究極の選択 ページ23

吉田 幸子
37歳、経産婦。妊娠13週5日。
＃18トリソミー疑い


izw side


今日は外来の日。だが、予め情報収集したいことがあって、スタッフステーションへと寄った。


「あれ？伊沢先生。今日は白衣着てないんですね」


いつもと違いワイシャツにスラックス姿の俺に気が付いたのか、湊さんが声を掛けてきた。


izw「今日は遺伝外来なんで」


そう、いつもの妊婦健診ではなく今日は遺伝カウンセリングが入っていた。

遺伝カウンセリングは、妊娠中にお腹の子供に異常があるか調べる検査をするか悩んでいる夫婦の相談にのったり、またその検査で異常があることがわかったケースに対して相談にのったりするのが主な役割だ。

その夫婦のプライベートな部分だったり、本音の部分に踏み込むこともあるから、なるべく威圧感が少ないように白衣は脱いでいくのだ。医師という肩書はときに堅苦しくて、そういうカウンセリングには邪魔になることがある。



さて、今日の予約は1件。

内容はNIPT(新型出生前検査)でお腹の子供が18トリソミー疑いと診断された夫婦だった。NIPTは母親を採血するだけで、胎児に染色体異常があるか調べることができる簡易な検査だ。(※染色体異常；遺伝を司る染色体の本数や形に異常がみられ、それにより様々な症状を呈する)


おそらくこの夫婦は、NIPTを受ける前に遺伝カウンセリングを受けなかったのだろう。

NIPTは通常、対象となる人たちが遺伝カウンセリングでその説明を十分受けてから、認定されている医療機関で行うことが推奨されている。けれども、その認定機関は、そう多くはない。巷では認可外でNIPTが行われることもしばしば。

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