○ ページ42
kwmr「ゆっくり入れて」
ko「はい」
河村先生に見てもらいながら吸引分娩をセッティングした。
ko「よし、いけます」
「伊藤さん、次の陣痛で赤ちゃん引っ張るから負けないようにいきんでね」
彼女は頷いた。
「あ・・・いたい」
陣痛がきた。
ko「大きく吸ってー、いきんで！」
うーー、と最後の力をふり絞って彼女はいきんだ。ゆっくりゆっくり引っ張って赤ちゃんを外に出す。
ko「よし、頭が出た！」
「伊藤さん、もう力抜いていいよ」
最後は湊さんが赤ちゃんを取り上げる。
「おめでとうございます！16：45、元気な男の子です！！」
・・・生まれた。
ついに生まれたんだ。
赤ちゃんは大きな声で産声を上げた。
「先生」
湊さんはへその緒を切ったその子を、俺へ渡してきた。普通は助産師さんが母親の胸元へ連れて行くけれど、きっと俺にその役目をやらせたいのだろう。
俺の腕に渡された赤ちゃんはすごく重い気がした。
ko「伊藤さん、おめでとう。本当によく頑張ったね」
そう言って彼女に赤ちゃんを抱かせた。彼女の目は潤んでいて、ぎゅっと我が子を抱きしめた。
「・・・先生、ありがとう。私、先生が担当で本当に良かった」
そう涙目で笑いながら言う彼女の顔を見れたことが、何よりも嬉しかった。
Aside
「最後に伊藤さん、こうちゃんに先生が担当で良かったって言ってたよね。そんなふうに言われるこうちゃんも、今回の件で成長したよ」
ソファーに並んでくつろぎながら、拓哉と今日のこうちゃんの勇姿を話した。
kwmr「こうちゃんの長所はいい意味で威厳がないところだからな」
彼はコーヒーを飲みながらそんなことを言った。
kwmr「僕は医者に威厳はいらないと思うんだ。医者は妊婦さんと対等であることが重要だと思うから。彼はうちの科の中で一番威厳がなくて、一番妊婦さんに近い立場になれる素質を持ってると思う」
たしかにな。
そんな期待を持たれていることをきっと彼は知らないだろうけれど。
これからの彼の成長が楽しみだった。
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たぴおかみるくてぃー(プロフ) - Arisaさん» いえいえ、お役に立てて何よりです。いや〜この作品何回読んでも感動。何度も読み返すことでどんどんこの作品の奥深さが感じられるんですよ（ちょっとよく分かんないですよね、すみません）やっぱり命を取り上げる作品は考えさせられますね。長々とすみません (2020年10月6日 0時) (
レス) id: cf3c86d772 (このIDを非表示/違反報告)
Arisa(プロフ) - たぴおかみるくてぃーさん» 誤字の指摘、ありがとうございます。修正しますね。今も読み返していただいて、ありがとうございます！ (2020年10月5日 20時) (レス) id: 791f405f1a (このIDを非表示/違反報告)
たぴおかみるくてぃー(プロフ) - お久しぶりです！読み返してたら、誤字を見つけました。協会→教会ではありませんか？ (2020年10月5日 8時) (レス) id: cf3c86d772 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおかみるくてぃー(プロフ) - Arisaさん» 続編の更新楽しみにしてます!!私も医療系書こうかな(；−ω−)ｳｰﾝ (2020年8月1日 20時) (レス) id: cf3c86d772 (このIDを非表示/違反報告)
Arisa(プロフ) - たぴおかみるくてぃーさん» 医療系小説を見かけなかったので、書いてみちゃいました。続編が更新中ですので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです！ (2020年8月1日 20時) (レス) id: 791f405f1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Arisa | 作成日時：2020年6月25日 20時
