【イナイレ】猛獣の闇 (ページ7)

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7話ページ7

「それは……監督から俺達への挑戦ってことですか?」

　嬉しそうに笑う円堂に、響木はそれを肯定した。

「――やろうぜ、鬼道!」

「……ああ」

　鬼道のその様子に少しの疑問はあるが、それでも円堂は響からの宣戦布告に胸を躍らせていた。

　呆れたような、少し待ち侘びているような雷音寺を見て、円堂は両手に拳を作ってずいと身を寄せる。

「待ってろよ、雷音寺! 絶対、日本代表になってやるからな!」

『分かってるよ。……一緒にサッカー、やろうぜ』

　そうと決まれば、と意気込む円堂と鬼道は雷雷軒を後にした。もうすっかり夜になり人の波も消えたアーケードを抜けて、2人は転々と並ぶ電灯の下を歩いていく。

「明日は雷門中で特訓することにしたんだ! そっちは?」

「帝国でやる……。ある意味、俺のホームグラウンドだからな……」

　そうごちるように言う鬼道を気遣ってか、円堂は河川敷の土手に並んで腰を下ろした。努めて明るい声で問いかけるものの、それでも彼は沈んだ声色であった。

「どうしたんだよ。こうなったら、やるしかないだろ! 不動のことは……気になるけど、俺のチームだって、まだまだ謎だらけの奴がいるんぜ?」

　そう言って夜空を見上げ、円堂はひたすらに鬼道を鼓舞した。そんな円堂に背を押されてか、鬼道はしばらくして、重たい口をゆっくりと押し開く。

「……さっき、お前と監督を見ていて羨ましくなってな」

「え?」

「お前は、響木監督やお祖父さんのノートが、サッカーを教えてくれる。だが、俺は……」

　鬼道の脳裏を過る、1人の男――影山零治。鬼道にサッカーを教えた男であり、多くのものさえ奪おうとしたただ一人の男。
　不動を見ると思い出す。忘れたはずの記憶を、あの男が呼び覚ます。

　空を見上げた。星が輝いていた。

「――ずっと、影山の呪縛から逃れられないのかもしれない」

　その言葉はずっと重い。鬼道はそれだけ言って、鞄を肩に掛けて立ち上がった。

「今は、日本代表のことだけ考えようぜ!」

　そう叫ぶ円堂の心の思いは1つだけ。不動という男によって鬼道の思いを掻き乱されたくない。鬼道には、鬼道の強さがあるのだから。

「選考試合で会おう」

「ああ。負けないぜ! そして一緒に、世界へ行こう!!」