【イナイレ】猛獣の闇 (ページ6)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:42,782 hit

6話ページ6

――数時間前。
　チーム編成のことで、鬼道たちが雷雷軒に来ていた時のこと。

「監督……どうして、鬼道と不動が同じチームなんですか」

　新聞から目を離した響木の先に円堂が立っていた。彼は神妙な面持ちで響木を見つめている。カウンターに雷音寺が座っていることに驚いているようだが、それよりも、と響木を見据えた。

「あの2人のことは、監督だって分かってるはずなのに!」

　それは、まだエイリア学園との戦いをしていた時のこと。真・帝国学園と試合をし、仲間が離脱してしまった。そのきっかけである不動と、そして敵対視するかのような鬼道を、円堂はずっと気になっていたのだ。

　不動は佐久間と源田を闇へ誘った張本人だ。未だ、2人の苦しそうな表情と、救急車に運ばれていく姿は忘れられない。

「鬼道……」

「考えることは一緒だな」

　鬼道が足を踏み入れる。やはりその表情は険しいものだった。

「俺は納得できません! 不動を選んだ理由は何ですか!」

　その厳しい声と問いに、しかし対して冷静な響木は落ち着き払った声でただ言い放つ。

「奴の能力を高く評価した。それだけだ」

　その答えに、鬼道も円堂も苦い顔をする。それでは、まったくもって納得いかない。不動にそんなもの、あるはずがないと。
　彼らの中で何かが叫ぶ。認めるな、納得してはならない、と。

「俺には、あいつが日本代表になるだけの力があるとは思えません……」

「代表になるかならないか、それは俺が見極める。そのための選考試合だ」

　正論だった。例え不動に代表になる力があるかないか、それを決めるために、代表の選考試合をするのだ。押し黙る鬼道を見て、円堂は悔しさに歯を食いしばった。

「いいか、試合の内容によっちゃあ、容赦なくお前たちを落とす」

「分かってます! 分かってますけど……」

　けど。と続ける円堂。彼の視線の先には、まだ渋い顔をする鬼道がいる。円堂はただ心配なのだ。一緒にここまで戦ってきた仲間が、1人の男に思い悩むことが。

「……そういうところは、お前の長所であり短所でもある。仲間を想うその気持ちは大切だがな」

　響木は見抜いているのだ。円堂の想いも、――そして、鬼道の想いも。

「まずは選考試合をしっかりやり遂げることだ。そしてその先にある世界との戦いの中で、お前達がどう変わって行くか……その答えは、お前たちのここにある!」

　どんと自身の胸を叩く響木に円堂ははっとした。