13話 ページ14
ぽかんとする一同を、久遠は次々と切り捨てていく。それは暗に、いや、はっきりとお前たちでは力不足であると言っていた。
「特に鬼道、吹雪、豪炎寺、円堂。私はお前たちをレギュラーだとは全く考えていない。試合に出たければ、死ぬ気でレギュラーの座を勝ち取ってみろ! 以上だ」
そう言って久遠は踵を返す。皆腑に落ちないような顔をして、それでも、ボールと向き合うべく練習を開始した。
『……なかなか気難しい監督だな』
そんな、雷音寺の呟きは空気に紛れて消えた。
練習が始まり、2チームに分かれ紅白戦。まだチームの抱える問題はあれど、それぞれ自分の満足のいくプレイができている、という印象だった。基山がボールをキープし、流星ブレードを打ち込む。それを円堂が正義の鉄拳で押さえ、2人はにやりと笑った。
「決めるぜ……!」
「ザ・ウォール!!」
壁山が緑川のシュートをブロックし、そのボールが雷音寺の元へ飛びそれを軽々とトラップした。カットするために走って来た吹雪を抜き去って、パスを出そうと目で味方にアイコンタクトをした時だった。
「ストップだ」
突然発された久遠の言葉に、皆が動きを止めた。何がいけなかったのだろう、と逡巡していると久遠の視線はそれまで良いプレイをしてしていた壁山のところで止まる。
「壁山、どうしてもっと前に出ない! 突っ立っているだけがディフェンスか!?」
「え? 俺、なにかしたっすか?」
「守ることしか考えていないディフェンスなど、私のチームには必要ない。
戸惑う壁山を無視して続ける久遠。それもそうだ。今までディフェンダーとしてゴール前を守ってきた壁山にとって、久遠の言葉は理解しがたい。そうやってずっとプレイをし続けて来たのだから。
続いて久遠は風丸の方へ向き、また鋭く尋ねる。
「何故土方にパスを出した」
「何故って……」
「鬼道が言ったからか? お前は鬼道の指示がなければ満足にプレイもできないのか」
何も言えず棒立ちになってしまう風丸。そんな彼らを尻目に、久遠は元の場所に戻ると腕を組んでフィールドを真っ直ぐに見据えた。当惑しながらも再び試合を再開するが、それは練習が終わるまで、深く追及するような久遠の指導は続いていた。
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ルアルア(プロフ) - お久!! (2015年9月6日 19時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
ぴーs@成績ヤバイw/かなりout(プロフ) - ルアルアちゃんお久! (2015年9月6日 18時) (レス) id: 2a0e5c9d96 (このIDを非表示/違反報告)
グリムリーパー・ガゼルレーゼ(プロフ) - ルアルアさん» ファイト! (2015年5月19日 22時) (レス) id: 9c819a75dc (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - グリムリーパー・ガゼルレーゼさん» はい、頑張ります! すぐに続きが書けるように精進いたします! (2015年5月19日 22時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
グリムリーパー・ガゼルレーゼ(プロフ) - 頑張って下さい。ちゃんと、続き書いたらすぐ読みます。 (2015年5月19日 21時) (レス) id: 9c819a75dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルアルア | 作成日時:2015年5月11日 18時