【イナイレ】猛獣の闇 (ページ13)

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12話ページ13

不動の言葉は一気にメンバーに不満の心を写させた。綱海が励ましたことで少し安堵の色は広がっているものの、それでもまだどこかに黒い雲がかかっている。
　そこにやってきたのは新生イナズマジャパンの監督久遠と、円堂たちと同年代の少女がフィールドに足を踏み入れる。

「お前たちも顔は知っていると思うが改めて紹介しておく。娘の冬花だ。今日からマネージャーとして参加させる」

「久遠冬花です。皆さん、よろしくお願いします」

　緊張した面持ちで自己紹介をした冬花。そんな冬花に近付く円堂の表情は明るい。

「私、マネージャーなんてやったことないから、ちゃんとできるかどうかわからないけど……」

「大丈夫だって! わからないことがあったら、なんでも俺に聞いてくれ!」

「よろしくお願いします、守君」

「わー! そうそう! そんな感じで、昔俺のこと守君って呼んでたんだぜ!」

　その2人の親しげな様子というか、円堂側の話のかけ方に雷音寺は1人疑問を抱く。そのもたげた疑問を、ふと隣にいた風丸へと問いかけた。

『仲良いんだかなんだかわからないんだが、あの2人、元から知り合いなのか?』

「円堂が言うには、小1の頃によく遊んでいたらしい」

　なんとも曖昧な答えにどういうことだろう、と余計に疑問が膨らむ。雷門イレブンは代表候補招集の数日前、冬花とすでに会っていたが、その時からこの2人は今と変わらなかった。
　なんだかぎこちない雰囲気を感じ取っていると、久遠は練習の再会を待ち侘びるメンバーに鋭い言葉を投げかける。

「これからアジア予選に向けて練習を始めるが、その前に一言言っておく。はっきり言おう。今のお前たちでは世界に通用しない!」

　突然の久遠からの突き放すかのようなそれに皆が愕然とする。これからだというのに、久遠はメンバーたちの想いの一切を次々にへし折っていった。

「なんだ? その顔は。まさか、自分たちが世界レベルだと思っていたわけではあるまいな?」

　順にメンバーの顔を確認するかのように見やる久遠。ここにいるのは、全国から集まった実力者ばかり。そして彼らも、選抜メンバーに選ばれたからにはそれ相応の実力があると信じていた。

「お前たちの力など、世界に比べれば吹けば飛ぶ紙切れのようなものだ! ……私は、そんなお前たちを一から鍛え直すよう頼まれた。中には私のやり方に納得できない者もいるだろう。だが、口答えは一切許さん」