花咲く少女 【鬼舞辻無惨】

花が二十一輪 ページ22

『私を、振ってください。ーーーそして、私を食べてください。』

無「・・・は？」


何故、そんなことを言うんだ。


好きな人を手に入れられたのに。両想いになったのに。


Aを食えと。そう言ったのか？


無「ーーー前も言ったはずだ。私はお前を食べない。決してだ。」

『青い彼岸花が、二度と手に入れなくてもですか？』

無「っ・・・」

『私、思ったんです。ーーー青い彼岸花なんて、私以外には生えないんじゃないかって』

無「そんなことはない。お前の花で私は鬼になったわけじゃないからな」

『・・・でも、どこを探しても見つからない。そうでしょう？』

無「・・・・・・」

『私を食べる以外、無惨さんが太陽を克服する手はない。違いますか？』

無「違う！ーーー今は花とAを分離する薬を作っている。それでーーー」

『ダメです。・・・見てください』




人間と同じだったはずのAの右腕と右足も、左手足と同じように植物になっていた。









『私ーーー死ぬんです。それも、もうすぐで』








無「・・・噓だ」

『噓じゃないです。・・・この花咲き病を知っているおじいさんに会いました。この病が進むか、失恋すると、花に体を乗っ取られて、最終的には花になってしまうって教えてくれました。・・・このまま花になるのを見届けるなら、いっその事すぐ花になって無惨さんに、食べられた方がいいかなって』

無「何を言っている！Aを食うわけないだろう！私はーーー」

『何言ってるんですか！どっちにしろ私は人間なんです！どうせあと数十年で死ぬんですよ！そんな私のために、無惨さんの千年間の想いを、これからの時間を無駄にするんですか！』

無「・・・・・・」


『・・・どうせ私は死ぬんです。ーーー私を食べるのが早くなるか遅くなるかの違いがあるだけで。









”私を振ってください”。これは私の最後のお願いです。








ーーー考えておいてください』




そう言って、Aは襖を開けて出ていった。

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