5日目〜時透無一郎〜 4 ページ48
時「・・・・・・。そっか。大切だったんだね。家族が」
暗い顔をして、無一郎はそう呟く。
『うん・・・。何か、思うことでもあった?』
時「分かんない。でも、すごい、胸が苦しい。」
有(!!)
『それって、無一郎にも大切な家族がいたっていうことなんじゃないの?』
時「分かんない・・・分かんない。分かんないんだよッ!」
『!無一r』
時「Aのあの事件であいつに会ってから、家族のことを考えるだけで頭が痛い!辛いんだ!すごい、すごい大切なことを思いだしそうで、忘れてる気がして・・・もう、苦しいんだよ・・・」
『・・・・・・』
そうだろう。だって、あんなに一緒だった、大切な双子の兄のことを忘れている方がおかしいのだから、家族の話を聞いて何も思わないわけない。ましては、数日前にその姿を一瞬だけでも見たのだから、余計混乱状態にあるのだろう。
『・・・人って、常に何かを忘れる生き物なんだと思うんだ。何かを忘れるのは、思い出せない何かがあるのは当たり前。・・・だから、さ。そうやって”大切な人がいる”って覚えてるだけでいいことだと思うんだ。寧ろ、大切な人を忘れている人がほとんどだから。それに、記憶障害の無一郎がそれだけ思い出したいって願う人なら、絶対思い出せるよ』
無「・・・そう、かな。でも、思い出せなかったら。この、”思い出したい”。って気持ちさえ、忘れちゃったら・・・ッ!」
『大丈夫。忘れないよ。だってーーー』
有「『そんなヤワな絆じゃない」
・・・でしょ?きっと、二人の絆は。』
無「!!・・・今、声。聞こえた。え、え、何で、何で・・・何で、分からないのに。覚えていないのに、涙、が・・・」
『大丈夫、大丈夫。きっときっと大丈夫。忘れないよ。思い出せるよ。いつかいつか、過去と向き合える日が来たら。この思いを忘れても、きっとまた思い出せる。頭で忘れても、心には、魂には絶対想いは刻まれたんだから。その日が来るまで、待とう。それまで過去の隙間を埋められように、ずっと一緒にいてあげるから。忘れても、全部また一から教えてあげる。だからそれまでーーー泣いて、眠って』
無「あ、あああああああああああッ!」
母の様に、いつかいたであろう、愛しただろう母の様に慈愛の笑みで腕を広げるAに飛び込み、霞柱、否、少年・時任無一郎は涙を流す。
彼は”霞柱”である前に、少年なのだ。
この世の不平等差に、自身の力の無さに。子供らしく泣いて泣いて、眠れ。
そして、朝には全て忘れて笑えばいいのだ。
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紫華 - 面白いです! (8月24日 10時) (レス) @page5 id: 7aa6fe7fca (このIDを非表示/違反報告)
尊い - 続きが速く見たいです (2022年3月29日 17時) (レス) @page50 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
元気なオタク(プロフ) - またたびはまたさん» ええッ!よ、よろしいのでしょうか・・・?気軽なの嫌いな人いますから、少し遠慮してたんですけど・・・実際今も敬語ぬけませんしw でも本当に略称でいいんでしょうか?嬉しいです!えっと・・・じゃあ、またたびさんッ!これからもよろしくお願いしますね! (2021年4月21日 21時) (レス) id: ed77530e67 (このIDを非表示/違反報告)
またたびはまた(プロフ) - 前々から思ったのですがわざわざまたたび“はまた”まで打たなくてもいいですよ笑気軽にまたたびって呼んでくださいな (2021年4月21日 18時) (レス) id: 62f0353355 (このIDを非表示/違反報告)
元気なオタク(プロフ) - 星猫さん» いえいえ、そんな気にしないでください。無視されたのはすごい悲しかったですが、反省してるなら気にしません。作るの引退もしないでほしいです。そういうのは償いにはならないですし、真面目に投稿していただき、誠意を見せるのが一番だと思いますよ? (2021年4月19日 16時) (レス) id: ed77530e67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:元気なオタク | 作成日時:2021年3月20日 12時