8.どっちが ページ8
「今のは十二鬼月でも何でもない。そんなことも分からないのか」
言いながらどこから取り出したのか、縄を弄り出す義勇。
「あら、なぁにそれ。便利そうなもの持ってるわね」
私の言葉を無視して黙々と作業を続ける義勇。
「わかってるわ!十二鬼月とか言ってたのは炭治郎だからな!!俺はそれをそのまま言っただけだから───…な!」
猪頭の少年が言い終わる頃、義勇は彼を縄で縛り付けて木にぶら下げていた。
一仕事終えた義勇がパンパンっと両手をはたいている。
「って、オイ!!待てコラ!!」
暴れている彼を置いてスタスタと歩き出す義勇。
「放って行って大丈夫なの?」
「己の怪我の程度も分からない奴は戦いに関わるべきではない」
「まぁ、あの怪我ならそうね」
納得した私も一緒になって義勇と歩き出す。
「聞こえねぇよ!速ェんだよ歩くの!!」
まだ何か喚いている少年をちらっと盗み見る。
あれだけ元気があるのなら暫く大丈夫でしょう。
「さっきの話だが……」
「何ですか?」
「水柱に………」
「もう!しつこいわ!そんなだから『みんなに嫌われる』って言われるんでしょ」
何度も聞いてきたその台詞に言い返せば、余程気にしているのか、心外と言った表情で言葉が帰ってくる。
「………俺は嫌われていない」
「はいはい。分かってますよ」
「…。」
「ねぇ、義勇」
「何だ」
「貴方は───────誰が好きなの?」
聞けば一呼吸置いてから義勇が口を開く。
「質問の意図が分からない。それは嫌いかどうかと言うことか?」
「そうじゃないわ。まぁ、私が口出しすべきではないのだけれど。ただ………私の気持ちも汲んで欲しくて」
「…。」
「私は、ずっとは守れないから………」
「それは皆同じだろう。鬼殺隊にいるのなら例外はない」
「それはそうだけれど、……………って!ねぇ、義勇?それちゃんと私の言葉の意味を理解して言ってくれてます?」
「…。」
全く、この男は何処まで分かって返事をしてくれているのか。
その表情からは読み取ることが出来なかった。
そんな会話をしていると鬼独特の匂いが濃くなった。
義勇も何かを感じ取ったようで「近いな」と呟く。
「行きましょう」
私たちは走り出した。
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月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます!ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー`*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年9月12日 12時