4.村田の後悔 ページ4
変わり果てた姿の仲間からの攻撃を、先ほどから永遠と受け続ける。
キィンと刀と刀がぶつかり合う高い音が鳴る。
もう相手は意識はないのに受ける刀が重い。
くっそお!カッコつけて先に行け!!とか言うんじゃなかった!
と先ほど見送った後輩の背中を思い出す。
「あれ?もしかして村田じゃない?」
ぐぎぎぎっと刀で相手の刀を受けながらが声がした方へ視線を向ける。
「その呼び方は、琴音だな」
言えば不思議そうな顔で尋ねてくる。
「隊員同士でなにしてるんです?」
「コイツは蜘蛛の糸で操られてる!鬼の能力だ!」
「なるほど、ちょっと厄介そうね」
言えば手を顎に当てて考える素振りを見せる琴音。
かなり余裕そうな表情に少し腹立つ。
「お前な…っ!見てないで少しは助けろよ!」
キィンと相手の刀をはじいて背後に回って、空に刀を振った。
途端、ドサッとそいつが倒れる。
「あら?その人………」
それを見た琴音が気付いたようなので、説明してやる。
「そうだ!もう息がない。辛うじて生きてるやつもいるが…糸で操られてる。繋がってる糸を切れば、解放される。が、また糸を繋げられて切りがない!」
ふっと彼女が笑う。
「糸を切ればいいのね」
「そうだ!」
琴音が、すっと鞘から刀を抜く。
とんっと地面を蹴って、ぎこちない動きで襲いかかってくる仲間たちの頭上を高く飛ぶと一度だけ刀を振った。
その姿は見事で無駄な動きが一切ない。
剣捌きに見とれているとドサドサっと支えを失った彼らが倒れた。
ストンと彼らのその背後に着地した琴音に呆気にとられる。
「お前、本当に凄いな…」
「村田はもう少し鍛練した方がいいよ」
「うっ…」
こっちは褒めたのに何だよその言い方!
とは思うものの、実力も階級も彼女の方が上なので何も言い返せない。
同期なのになんでこんなにも差が付いてしまったのか………
何が違うんだろう。
俺ができ損ないなのか?
それともアイツらが天才過ぎるのか?
考えると自分の不甲斐なさに心が折れそうだ。
すると一瞬、刀を振った琴音。
ぱらっと小さな蜘蛛がその場に真っ二つとなって落ちる。
「…これは気持ち悪いわ。少しだけAの気持ちが分かる」
糸を繋いでくる蜘蛛の残骸に顔を歪めている。
そんな彼女の姿を見ると、やはりそういったものは人並みに苦手なんだなと安心した。
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月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます!ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー`*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年9月12日 12時