26.同期 ページ26
初めましてという事で自己紹介をした私たち。
姉さんを知っていた彼は竈門炭治郎。
黄色い頭の彼は我妻善逸。
そして、奥で眠っている猪の被り物をしている彼は嘴平伊之助。
三人は同期らしい。
「それにしても………本当にそっくりですね」
じいっと、炭治郎くんが私を見る。
「よく言われる」
「Aさんと同じ顔の女の子が、もう一人いるなんて………」と隣の善逸くんは何やらぶつぶつ言っている。
「匂いが同じだから、琴音さんかと思いました」
「え?……に、匂い?」
私、何か匂うのかな?と思わず、自分の匂いを嗅ぐ。
「あっ、すみません。気にしないでください。俺鼻が利くんです!」
あたふたと弁明する姿は少年らしくて可愛い。
けれど、彼の手を見れば分かる。
傷だらけのその手は普通の少年の手ではない。
血の滲むような、努力の後だった。
「Aさんも鬼殺隊の隊士なんですか?」
「ええっと、ううん………今は違うよ」
あ、不味いな。
今の私は頭巾を被っていない。
任務の関係上、隠はあまり素顔知られちゃ不味いんだけど………
まぁ私の場合、まず双子と言う時点でもう隠しても隠さなくても一緒か。
「えっ?それじゃあ………?」
「隠なんだ。………私は、剣士としては才能もなくて、怖じ気付いて辞めたの」
そう告げると「すみません!」と炭治郎くんが勢いよく謝る。
とても申し訳なさが伝わってきて「ううん、気にしないで」と笑って見せた。
それにしても………
「同期、………か…」
私にもいた。
今では数少なくなってしまったけれど。
沢山いた大事な同期たちを思い浮かべる。
弱かった私が今日まで生きてこれたのは、みんなのお陰だった。
「同期は大切にね………」
自然と出た言葉だった。
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月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます!ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー`*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年9月12日 12時