6.先を急ぐ ページ6
更に先へ進むと、太い木の枝にぶら下げられた隊員たちの姿があった。
これは先に進んだという癸の二人がやったのかしら?
そんな事を考えながら辺りを見回すけれど、その誰もが限界を超えた角度まで首を曲げられていて、もう指一本動くことはない。
「………酷い」
これは絶対Aに見せたくない。
そう思いながら先を急ぐ。
途中、指笛を鳴らせば空から鴉が私の元へ飛んで来る。
「コノママ走ッタトコロニ交戦中ノ隊員ガ一人イル」
「ありがとう紫」
並走しながら言うと、また空へと消えていった。
「カナヲ。貴女もしのぶちゃんのところに行きたいんでしょう?」
横を見ればピクッと顔を上げるカナヲ。
「もう十分だから、気をつけて行っておいで」
言うと彼女は一つ頷いた。
「ありがとうございます!」
「後藤さん着いてきてます?」
後方に声を掛ければ荷物を背負った彼が息を切らしながら返事をする。
「ここからはカナヲに着いて行ってください!」
グッと掲げられた親指を確認して私は先を急いだ。
彼女と別れて少し走っていると、鬼の体から放たれる独特の匂いが強く鼻を突いた。
少し前まで別の刺激臭が酷くて良く分からなかったのに、それがいつの間にか薄くなっている。
近い。
刀の柄に手を掛ける。
すると前方に人の頭を今にも握りつぶしそうな鬼の姿があった。
まずいわね。
速度を上げようとした時、ズパッとその腕が切り落とされた。
同時に握られていた人が地面に叩きつけられる。
あれは………
「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮」
ばらっと崩れ落ちた鬼の体。
私の出る幕は無いわね。
そっと柄から手を離して彼らの元に駆け付ける。
「義勇!」と名前を呼んで駆け寄れば、彼がこちらへと振り向いた。
77人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます!ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー`*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月見 | 作成日時:2021年9月12日 12時