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お酒もいい感じに入って来た時、
ふと携帯に着信通知が見えた。
名前を見れば、少しだけ気分も落ちる。
「ちょっとすみません、」
携帯を持って部屋を出ようとすれば
彼氏かー?なんてからかってくる浦田さんの横を通り抜けて部屋を出る。
少し離れて壁に寄りかかると、
着信通知から通話ボタンを押すとすぐにつながる。
「もしもし、」
『もしもし?どこいんの?』
「ちょっと、友達と…なんかあった?」
『…金、もうちょいなんとかなんね?』
「え、だって今日…」
『そうなんだけど、もうちょっとだけ』
一体何に使ったんだろう、
私だってお金が有り余ってるわけじゃない。
『頼む、俺にはAしかいねぇんだよ、』
またこのセリフ、
このセリフを言われると私が弱いのはわかってるんだ、
その言葉、他の誰かにも言ってんのかな。
自然と出てくるのは、いつも言ってるから出て来てるんだろうな、と
自分でも驚くくらい冷たい気持ちになっていた。
『A?』
「…、わかった。明日、おっ」
耳につけていた携帯が抜かれる感覚、
驚いて振り返ると、冷めきった顔の人が立っていた、
「…西島くん、」
ぷつ、と終話ボタンを押してから
自分のポケットに私の携帯を入れて、
あの日と同じように大きなため息をつく。
「携帯、返して」
西「進むんじゃなかったの、」
「…でも、」
西「でも、じゃねぇじゃん。リーダーと楽しそうにしてるし、大丈夫かなって思ってたんだけど、結局それかよ。」
「…浦田さんと話してるのは楽しかったけど。」
西「俺が言ってやろうか?もう連絡しないでくださいって、」
「やめて!…、っお願い…」
私の携帯を持って、待ち受けを開くと慌てて腕を取る、
その腕を取られて数時間前みたいに壁に追いやられる。
綺麗な顔が近くにあって、
でも違うのはその表情は怒りを含んでいるからだ。
西「結局まだ好きなわけ、」
「…嫌いではない、」
西「辛くねーの、それ、」
「…、」
途端に悲しそうな顔をする西島くん、
その顔に私の心が持っていかれてしまう、
すがるわけではない、
けど、今は
そんな顔をしないで欲しくて、
私は西島くんの裾を掴んだ瞬間、
目の前が真っ暗になった。
抱きしめられてる、
そうわかったのは、少し経ってから。
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rio(プロフ) - あゆにし♪さん» コメントありがとうございます。長編の女の子のことでしょうか?千晃さんとは別の方です、申し訳ございませんが、こちらは別の長編の複線ですのでそちらに出てくる主人公も出てきます。その方のお名前の設定もしていただけるとわかりやすいと思います。 (2018年1月17日 15時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
くま - 丁寧な返信ありがとうございます!受験が迫っていてこの小説読むと元気になれます(^o^)/勉強の合間にまた読むの楽しみにしてます (2018年1月12日 23時) (レス) id: 6dbd28e3f1 (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - くまさん» コメントありがとうございます!続き、本日も更新予定です*ぜひ今後ともよろしくお願いします!また覗きに来てやってくださいね! (2018年1月12日 23時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
くま - めっちゃ続き気になるー(*^^*)頑張って下さい! (2018年1月12日 18時) (レス) id: 6dbd28e3f1 (このIDを非表示/違反報告)
じゅり(プロフ) - 間違いました!!このコメントは消してもらって結構です!これからも頑張ってくださぁい! (2018年1月4日 2時) (レス) id: 54dbba8f6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rio | 作成日時:2017年12月18日 23時