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西「何話してたのか、半分くらいわからないんだけど!」
不満げなにっしーの言葉を聞いてイヤモニを耳から外す、
ボロ、と流れる水滴。
危なかった、あそこで、
にっしーが来てくれなかったら、
今ここに私が入れる奇跡を、
全て、話して、嘆いて、泣いてしまうところだった。
もちろん、怪我をしたのは、
今回が初めてではない、
だけど、
改めて、みんなの、ファンの子の前に立てるこの奇跡が、
嬉しくて仕方なかった、
「っはー、…」
與「A、」
「しんじろ、…ごめん、大丈夫。」
與「痛い?」
「ううん、そうじゃない、…嬉しくて、みんなの前に立てるの。」
與「…ん、そっか。そうやな、」
楽しかった時間ももうすぐ終わる、
だけど、一曲一曲、
みんなの前に、立てるこの奇跡を噛み締めて、
私は、みんなの前に立ち続けるんだ。
まるで走馬灯、
駆け巡る思い出は、胸にしまって、
ステージへと繋がる階段を駆ける。
浦「さて、みんな戻ってきたし、とりあえず、
いつものやりますか!」
* * *
千「A〜?着替えるよ?」
「うん、」
千「どうしちゃったの、鏡なんか見て。なんかあった?」
「うーん。」
お疲れ様でしたー、と
スタッフの声が飛び交う中、
初めての単独での野外ライブ、
富士急三日間の公演は幕を閉じた。
宇「感傷に浸ってるね。」
「そうだね、」
千「ん?」
「なんか、この三日間で、すごいいろんなことあったなって思ってたら、さっきなんか大人な顔になったなって。」
宇「言われたの?」
「うん、…そんな変わったかなって。」
宇「Aはずっと変わらずずっとずっと可愛いAだよ〜〜!」
「…そうじゃなくて、」
宇「変わってないよ、Aは。…ずっと七瀬Aのまま、ファンの事を思ってる、Aのままだよ。」
鏡ごしに実彩子ちゃんと目が合う、
にっこりと微笑んでくれるその笑みに、
私のこの10年、たくさん救われてきたんだ。
千「成長、はしたよね、お互い。」
宇「それはあるかも。」
「そうかな〜、それならいいんだけど。」
宇「さてさて、着替えちゃいますか。」
千「みんな待ってるしね、」
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ちい - 更新きてくれてありがとうございます!!また読み返して最新話が更新されててとても嬉しくありがたいです! (2020年6月16日 0時) (レス) id: 41d72408da (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - ちいさん» 遅くなりまして申し訳ありません、コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです*まだ少し続くと思いますので、お付き合い頂けると嬉しいです!また覗きに来てやってくださいね! (2020年5月25日 1時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
ちい - めちゃめちゃ最高です!!何ていうのだろう、、めちゃめちゃ文書が分かりやすいし胸キュンするし、3150で、4回読み直してます!更新楽しみにしてます!! (2020年5月21日 15時) (レス) id: 9cfad6f983 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rio | 作成日時:2019年9月14日 1時