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294 ( side sueyoshi ) ページ19

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ハワイでのファンクラブイベントも中日、
明日は最終日のライブもある。


Aと宇野と別れて
ホテルの部屋に戻った来て、
窓際の椅子に座るとふと外を眺める。




秀「そうじゃなくて、」

『秀太さんが言いたいことはわかりますけど、』

秀「じゃあ、」

『それもなかなか難しい事もあって、』




ため息がもれる。

別にこんなことは今までだったあった。
それこそ、昔なんてよく当たってたから
今でこそこっちの意見も向こうの意見も
出るようにはなったけど、



上手くいってないわけじゃない。



なんなら、グループだって10周年を迎えて、
決まったことなんて山ほどあって。

次のツアーも、大きなことだってまだある。


ソロとしてだって、バースデーパーティが
決まったりしてて。



なのに、



真司郎の留学をきっかけに、
俺が本当にやりたいことってなんだろうと思うようになった。



これまでだってたくさんのことを体験させてもらったし、
俺がやりたかったことだって
たくさんの人が協力してくれて出来たこともあったし、

今回のバースデーパーティだってそうだ。



10年前の俺は、今の俺が想像できた姿なんだろうか。



そう思うようになったのは、



メンバーそれぞれが、ソロで大きく活動し始めたからだ。


あんなに、海外が嫌いで、
わがままも言っていた真司郎が、

留学をする、これからの自分のために。と


俺たちに言ってきたことも大きくて。




変わり始めてる、誰もが。






秀「やりたいことってなんなんだ、」




俺が本当にやりたいことってなんなんだろう。




ぽつりと呟いたことが、
自分の胸を指す言葉になって。





ピンポン、と部屋のベルが鳴る。




ドアスコープを除けば
見慣れたマネージャーの顔があって、
ドアを開ければ、
準備してくださいね、と声をかけられて再び扉を閉める。





洗面台に向かって、
袋から歯ブラシを出すと、
手が滑って、カラン、と音を立てて洗面台に落ちた。





秀「わかんねぇな、なんでなんだろう。」







ここまでまっすぐに歩いてきたつもりだった。



どこから、どこから


本当の俺を見失っていったんだろう、






それさえも、わからない。





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