221 ページ37
.
シン、と特に話すこともなく流れる無言の雰囲気。
それがまた苦痛とかではなく、
そんな雰囲気でも大丈夫だと言ってくれてるような
彼から出るオーラにちょっとだけ安心してしまう。
日「慣れてきたね、」
「え?」
日「最初見たときよりなんか丸くなったなって思って、慣れたなと。」
「あ、まぁ…そうですね、結構経ちましたし、おかげさまで。」
日「よかった。癖強いからなぁうちのメンツは。」
「あはは、それ日高さんがいいます?」
日「お、言うなぁ。」
けらけらと、軽快に笑う日高さん。
雰囲気もそうだし、話し方も含めて
人との壁をあまり作らない日高さん、
交友関係は謎なところがまだあるけど、
いい意味でたしかにお友達は多そうだななんて思いながら。
日「はいついたよ。」
「ありがとうございます、」
乗るときと同じ音がして扉が開いて、
再び降りるまで扉を開けていてくれる。
自然とできてしまうこの感じは、
なんとなくだけど、
モテる、んではないだろうか。
お礼をしよう、と扉のほうを振り返ると
違う階のはずの日高さんまで降りてきて、
不思議に思っていたらニッコリと笑った日高さんと目があった。
日「お部屋までお送りしますよ。」
「え!いや、さすがそれは、悪いです!」
日「こんな時間に一人で帰せるわけないじゃない、大丈夫大丈夫。」
「でも、」
日「大丈夫、これがうちの女子でも違うスタッフでも変わらないから。」
「…すみません、ありがとうございます」
海外、ということもあるのだろうか。
日本だったら多分こんなことにならないとは思うんだけど、
それと共に、私に悪く思わせないような気の使い方も
さすがというかなんというか。
こう言ってしまってはなんだけど、
ちょっとどこかの誰かに
爪の垢を煎じて飲ませたいくらいかもしれない。
そんなこと口が裂けても言えないんだけど。
日「さすがに部屋の前までは無礼になるかもしれないからここまで。」
「あ、すみません…、ありがとうございます、」
日「じゃあ、おやすみ。」
「わざわざありがとうございました、日高さんも気をつけて。」
日「うん、ありがと。」
ひらひらと、手を振る日高さん。
私が部屋に入るまで見守っててくれて、パタリと締まるドア。
なんだかちょっとだけ、メンバーとスタッフということだけど、距離が縮まった気がして、嬉しかった。
→
1019人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう - すごく良かったです! (2020年2月4日 12時) (レス) id: 740b20218b (このIDを非表示/違反報告)
くま - 次が気になる〜!! (2019年9月3日 23時) (レス) id: dcfe0f3089 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:rio | 作成日時:2019年5月21日 2時