p e r f e c t _ 5 (ページ22)

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206 ( side Nishijima ) ページ22

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不謹慎だろうけど、
誰かのために涙を流すAに、湧いてくる感情と、
それと共に、涙を流すAが可愛く見えた。

一生懸命に、誰かのために、

そう思うと、湧いてくる感情が
抑えきれなくて、
俺は無意識に抱き締めて、顔を近づけた。

西「ごめん、つい。」

「…びっくりした、」

西「すごい可愛い顔してた。」

「からかうのやめてよ、」

西「からかってるつもりはなかったんだけどな、」

「もう、」

耳元が赤くなっていて、
薄暗い部屋の中でわかる、
彼女が、" なにか " を期待していた顔をしてたこと。

Aもきっと無意識にその表情をしたんだろうけど、その表情を俺は見逃さなくて、

( 俺のわがままとして、)

( 無理矢理、にでもその表情を、 )

( 奪ってしまいたい。 )

誰にもぶつけられない思いは、
Aの中できっと、数時間もすれば消え去っていくから、

それは、それで、
俺の中で沸き立っていた感情を
払拭できるものではなくて。

そんなこと、したくなくて。

西「あとで怒って。」

「え、？」

衣装を手にしてた、その腕を引いて、
くるりと、身体を振り向かせると、
音を立てて、困惑してる表情の唇を塞いだ。

「ん、っ …」

はっ、として押し返してくる手を取って、
指を絡めれば、次第に小さくなっていく抵抗の姿。

時が止まったみたいで、
ここが、事務所の控え室だということだとか、
ライブのリハで、トラブルがあって、そのために戻ってきてるから
時間があまりないということとか、
そんなことは頭から離れてしまってて、

今、目の前にいる、

Aが、

誰かのために、泣いて、
誰かのために、行動してるAが、

嬉しくて、悔しくて、腹が立って、
いろんな感情が混ざって、

西「俺だけ見てよ。」

「…、どう、」

西「俺だけ見ててよ、誰の事も考えないで。」

「それは、難しい…けど、」

西「…、」

「今は、西島くんのことしか考えてないよ、」

触れている指が、
かすかに動いて、俺の指に擦り寄るような仕草、

彼女の中の、

Aの中の、" なにが " が緩まった瞬間。

俺は、決まった時間の中で、
もう一度、Aの瞳に映るために、
唇を塞いだ。

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