p e r f e c t _ 5 (ページ1)

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185 ( side Nishijima ) ページ1

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その時、自分の感情が
高ぶっていて、

なにを発したいのか、
この掴んだ手を、どうしたいのか、

それさえも考えてなかった。

抑えきれない感情、

怒りにも似たその感情は、

強く握られた手に表れていた。

＊＊＊

未だに自分の感情がコントロールできない、
自然とドアノブを握り締める手も強まって、
ガチャン、と大きな音を立てたと同時に
自分の手がしびれている事に気づく。

西「いてぇ、…」

ジン、と手に広がる痺れに耐えていると、
奥の方から、声がかかって、

ゆっくりと顔を上げれば、

「おかえり、…どうしたの？」

不思議そうにしながらも、
駆け寄って来てくれるAが見えて、

心の奥がぎゅっと締め付けられる思い。

西「遅くなってごめん、」

「全然、そんな遅くなってないから大丈夫だけど…、てか、手どうかした？どっかぶつ、ッ」

駆け寄ってきて、
俺が眺めていた手に触れて、
心配そうにするAのその手を引くと、
簡単に俺の腕の中に収まる。

もう、泣かせたくない、
あんな顔、一生させたくない、

そう誓ったんだ。

何度も掴めずに、悔やんだこの手。

今こうして、そばに居られるから、
だからこそ、大切にしたい。

どんなことがあっても、守りたいと思ったから。

「西島くん？」

西「んー。」

「どうしたの、なんかあった？」

西「……、ないかな。」

「嘘だ、じゃなきゃこんなことしないでしょ。なに、こっぴどく怒られた？」

西「なんでそうなんだよー、ちゃんと頑張って終わらせて帰って来ました。」

「あらそう。じゃあ、わかった、お疲れモードだ。」

西「Aの前じゃかっこつけたいからそんなことしませーん。」

「…今更？」

西「今更ってなに！？」

「もういいよ、ほら、…ご飯食べるんでしょ？」

西「ねぇ、今更ってなんだよ、Aー！」

だから、あんなことは、Aは知らなくていい。

少しでも、笑って過ごして欲しいから。

俺が拭えるのならば、
Aから笑顔を奪うものがあるのならば、

俺が、拭って、無くしてあげるから。

だから、

西「Aー、」

「なによもう、早く着替えてきなって。」

西「ただいま、」

そばに居て、俺がAの居場所になるから。

→