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お疲れ様でした、とステージ裏で飛び交うスタッフの声。
ハイタッチしながら通っていくのは、
いつもと変わりない風景。


明日で今回のツアーも終わり、
ライブなら、来月だって、アニバーサリーだって
富士急のライブだって
今年はたくさんのライブをさせてもらえるけれど、


10周年のツアーは、明日で終わりなんだ。



そう思うと胸が熱くなる、

思いたって、きた道を戻ると
明日の準備を始めてるスタッフさんが
驚いた顔をしていて、

気にしないで、と声をかける。




重いカーテン、
少しのぞけば、会場アナウンスを聞きながら、
外に出ていくファンのみんなが見える。




本当だったら、今でもみんなの前に立ちたい。



来てくれてありがとう、と
みんなの帰っていく姿を
最後まで見守りたい。



そんな思いを重ねながら、
キラキラと光るみんなの後ろ姿に心惹かれて、
そっと胸を撫で下ろす。





日「おいこら問題児。」

「うわ、っ…だっちゃん、どしたの。」

日「どうしたの、じゃないから。明日のこと話すから、楽屋にいてって最初に直也くんに言われてただろ。」

「あれ、そうだっけ、…忘れてたごめん、戻ろ。」

日「まぁいいんだけどさ、なにしてたの？」

「んー？帰るみんな見てた。」

日「見えんの？」

「うん、結構見えるよ。ほら、」




軽装にすでに着替えてるだっちゃんは、
再びその重いカーテンを開けると、さっきのわたしと同じようにみんなの姿を覗いてた。



「あーー、あんまり出るとバレるって」

日「それどころじゃないだろ。…で、こんな所でどうしたわけよ。黄昏？」

「別にそんなんじゃないけど、こういう時、人の気持ちが見えたらいいなって思うんだよね、」




楽しかった、とか、あの曲が良かった。とか
いい意見もしかり、悪い意見だって多かれ少なかれあるはずだから、


それが、この一瞬だけで見れたらいいなって
思うことが度々ある。



人の気持ちが見れたら、どんなにいいんだろう。





日「俺はそうは思わないけどな、」

「なんで？言わなくったって、わかるならいいことじゃない？」



日「どんな気持ちも想いも、言葉にするからこそ意味があるから。だから、見えたら、言葉にすることがなくなるのなら、俺はそんなもの見えなくていいと思っちゃうかな、」




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