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ぐらぐらと椅子を揺らしながら
考えてるような仕草をしていれば
いつの間にか席を外していた、

自分でも、もちろんなかちゃんも分かっているんだろう



こういう時は何も浮かばない。


作詞に限らず、イベントのことだったり
考えれば考えるほどいいものが浮かんで来ない事がある。

考えすぎて行き詰まる時だ。



今日は1日余裕があるから、と
なかちゃんが談話室を開けていてくれているけど、
正直行き詰まるとなにも思い浮かばない。



「飲み物買ってこよう、」


綴ったメモを片付けて
談話室の外に出ると、
見知った顔を見つけて思わず顔がほころぶ。




「大輝くん！」

大「ん？あ、Aちゃん。」

「珍しいね、一人？」

大「今日はね。そっちこそ珍しくない？」

「今日はちょっとね。…時間ある？飲み物買いに行くけど。」

大「奢りなら行く。」

「仕方ないなぁ(笑)」




後輩でもあるDa-iceの大輝。
昔からの知り合いでもあるけど、
そこは事務所にも話していない事だから
こうやって事務所で会うときは
先輩後輩として接してるけど、

元は同い年ってこともあるし、
私たちが隔てなく話してても誰も不思議には思わない。




大「なにしてたの？」

「作詞ー、全然思い浮かばないんだよね、…やっぱあんまり才能ないのかなって思う。」

大「そう？最初はそんなもんだと思うけど。俺はAが選ぶ言葉好きだし。」

「えーそうなのかなぁ、前は共作だったけど、今回はフルソロだからさ、言葉にして伝わらなかったらとか、言葉足りな方とか思うと、全然出てこなくなっちゃって。」

大「考えすぎ。伝えたい事を載せればいいと思うし、聞いてくれる人はきっとAの言葉受け止めてくれる人ばかりだと思うよ。」

「うーん…」




自販機の前で二人。

辺りには誰もいないから、ついいつもの癖で呼び捨てになってしまうけど、
やっぱり大輝と話してる時はどうも気が抜けてしまうというか、
心を許してしまっているからだろうか、
弱音が出てくるのは変わらない。




大「アルバム出すんだっけ。」

「うん、でも配信とかそういうのじゃないよ。トークショー限定。」

大「もったいない。」

「いいの。」

大「Aがそういうならいいけど、もっと欲深く行けばいいのに。」

「十分すぎるくらいだよ、…私がみんなの前に居られることだけで、幸せなんだもん。」



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