d e a r e s t _

7. ( side Hidaka. ) ページ9

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ふわり、


慣れない匂いに意識が浮上する。

遠くの方で物音がなってる感じもするけど、
それがなんだか心地よくて、
いつもより気分のいい寝起き。


寝る事より、電子機器を目の前にして
文字の羅列を見てることの方が多かったここ最近、
その方が俺の性に合ってることも分かってるから、

なんて思いながら、
重いまぶたが上がる。




日「…、っ！」



聞き慣れない物音と、慣れない匂いと共に、
瞼を開けた瞬間に、見慣れない天井に勢いよく起き上がる。



日「どこだここ、」




待て待て待て、待て、落ち着け



昨日どうしたっけ、
たしか、あいつを誘ってるやつの仲裁に入るように友達とたくさんのグラスは開けた、


そのあとだ、
そのあとは、



そうだ、酔いを醒まそうと
人が多くいるフロアを抜けて、
裏に行ったんだ、


それから、そうだ、あいつが来て、
階段上がって、無理矢理寝転がらされて、





…、あれそのあとどうしたっけ、




そこまではまだ完璧に覚えてる。
多少の会話は覚えてないにしろ、
失態なんかしてない、それはわかってるのに、


その後の記憶が一切ない。




日「おいおい、…まさかのまさかじゃねぇだろうな、」




ベロベロでも自力でホテルに帰って次の日飛行機で一人で帰れる俺だぞ、


そんなはずない。




「あ、起きた。おはよ、」




見慣れない部屋には不釣り合いな、見知った顔。

まだ開けてないペットボトルの水を渡してくる、
昨日俺が仲裁に入ったやつ、

俺が最後に会ったであろうこいつは、
自分のペットボトルに口をつけて笑っていた。




「ふは、考えてること当ててあげよーか？」




年相応なその笑顔、
おかしそうに笑うその姿に、俺も釣られるように笑うと、

肩にかけてあるシャツがゆるく落ちる、
覗く白い肩に目が行くけど、そんなこと考えてる場合じゃない。




「 ってのは嘘で、」

『おはよう日高くん、大丈夫？』



開かれてたドアからのぞいたのは、
こちらも見慣れた顔の1人、




日「え、なん、え！？」

『流石にAに1人で抱えさせられないからね。』




俺がそこのバーと、クラブに通うようになったきっかけになった、尊敬する元ラッパーでもあり、
そこのバーのマスターだった。





「 そんでもって、私の父親です。」




日「……えぇ！？」





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