d e a r e s t _

46. ページ48

.



ー AAA 10周年を迎えて ー


そんな見出しをテレビのニュースやら、
はたまたSNSやらで見かけるこの頃。


私が日高くんと出会った時は既に日高くんはグループでも活動してるさながら、
SKY-HIとしても活動し始めていた頃の事だ。


元はお母さんがカウンターによく顔を出してて、
私はと言うと本当に手伝いとしてしか顔を出してただけだが、
お母さんが病気をしてここに出れなくなった頃
私が代わりにカウンターに立つようになってから
日高くんがよく話しかけてくれるようになったんだ。

今考えればわかる、


多分、私を寂しくさせないようにするためだったんだなって。


お母さんとよく話す日高くんを見かけたことはあったけど、
なんせ一人っ子だし、歳の近い友達だってほんとに少ない私だから、
そんな私がここのカウンターに立つようなってから
人付き合いをしないのを知って声をかけてくれるようになったんだなって、あとから気づく。


お陰様で、日高くんの知り合いから友達というものも輪が広がり、
日高くんがいなくても、お仲間さんと楽しく話せるようにもなった。


いつ頃、日高くんのことを
好き、という目で見るようになったのかなんて


そんなの、




『Aちゃん、』

「うわぁ、はい！どうかしました？」

『いや？珍しくぼーっとしてるなって思って、』

「え、してました？」

『してたよ〜、どうしたの？恋煩い？』

「あはは、なに言ってるんですか(笑)」



仕事中だった。

声をかけられてふと我に帰る。



恋煩いねぇ、
そんな甘くて青春めいたものじゃないのは
自分でもわかってるし。

叶わない恋してます、


なんてこと言っても、
最近は好きになることを間違えたんじゃないかとさえも思う。



それくらい、これ以上好きになりたくない人。



( そういえば、今週末って言ってたけどいつ来るんだろう )


今日は金曜日の夜。
私の曖昧なスケジュールでいえば、
明日明後日はライブのはずなのに。


まさかその間で顔出すとか、



「ありえなそうだなぁ。」




とりあえず、急ぎじゃないから。と
一本だけ後で連絡入れよう。



この時はそんなことしか思ってなかったけど、
その後、心を抉られるような思いをするなんて
この時は思ってなかった。





→

47.→←45.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す