148 ( side Nishijima. ) ページ13
.
「とりあえず、服着て顔洗ってきて、ご飯作るね。」
ぺし、と頬を叩くAは
俺が上の服を着ていないことに
改めて気づいたのか、
なんだか少し照れてるようで
抱きしめていた腕を離して洗面所に向かった。
西「あ〜、幸せだなぁ、」
いつの日か、
洗面所で髪を乾かしていたAを
後ろから抱きしめたことがあった。
あの時は、全てが終わってもいいと思えるくらい
Aがほしくて、
その心と体も全て、俺のものにしたかった一心だった。
目の奥が、揺れていたこと覚えている。
それが今は、
「あ、西島くん、そこのカップ…」
こうやって俺のそばにいる。
西「これ？」
「うん…、」
西「はい。」
「ありがと、座ってて、すぐ持ってくから。」
西「ん。」
なんだか気恥ずかしかった。
それはAも一緒のようで、
言われた通りにカップを渡すと
キッチンが見えるソファの上で寝転ぶ。
聞きなれない生活音、
こんなにも心地いいなんて、ここ何年思ってもなった。
もちろん、こうやって朝ごはんを作ってくれた人は
Aが初めてなわけじゃない。
でも、こんなにも幸せだと思えるのは
初めてだった。
後ろ向きで揺れるポニーテール。
ふわふわとその髪を揺らしてるのを見てると、
顔も洗ってスッキリしたはずなのに、
なんだか眠気を誘ってくる。
この、寝落ちそうな瞬間が
一番好きなんだよなぁ、
.
「こら！寝ないの！」
西「うわ、…っべ、寝てた」
「今日も仕事です。ちゃんと食べて、頑張ってきてください」
西「うわぁ〜仕事モードなAやだなぁ、…」
「ちゃんと切り替えてもらえないと困ります。」
むぅ、と唇を尖らせると
楽しそうに笑うAが目に入る。
確かに、こんな顔のまま仕事になんてでも言ったら
感のいい直也くんあたりは気付くだろう。
西「仕事中は気をつける。」
「うん、そうしてください。」
西「えへへ〜」
「…無理そうだなこれ。」
そりゃそうだよ、
だって、こんなにも心が揺さぶられるくらい
欲しかった人が、
そばにいるんだから。
せめて今だけは、
その幸せを噛み締めさせて。
→
149 ( side Nishijima. )→←147 ( side Nishijima. )
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 800人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rio(プロフ) - Takatakaさん» コメントありがとうございます！更新、なかなか出来ず申し訳ありません。もう一つの方のお話の目処がつき次第、新しい枠にて更新させていただきますので、ドキわくしながら待っていてくださると嬉しいです。ありがとうございます(* 'ω')ﾉ (2019年5月13日 0時) (
レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
Takataka(プロフ) - はじめまして、perfect続きがとても気になります、更新楽しみにお待ちしてますし (2019年5月10日 20時) (レス) id: e0f897fd84 (このIDを非表示/違反報告)
shuchia。 - はい、その内twitterの方にも顔を出させて頂こうと思っています!angel_凄く設定が好きです…!!笑これからも頑張って下さい、応援しています。 (2018年12月6日 18時) (レス) id: 8e21e369d0 (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - shuchia。さん» コメントありがとうございます。遅くなり申し訳ございません。桃推しなのですね、とても嬉しいです＊桃主体のお話読んでくださったみたいで、ありがとうございます！ぜひtwitterのほうにもお越しいただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
shuchia。 - 初めまして。いつかコメントさせて頂こうと思っていましたが、勇気が出ず…えっと、rainbow.rainbow+.angel.短編集も読ませて頂いています。桃推しの私でもrainbowや、この小説、愛してます!応援してるので頑張って下さい。 (2018年11月26日 23時) (レス) id: 8e21e369d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：rio
| 作成日時：2018年7月30日 22時
