＊ 短編集 III

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「ファンの子から聞いたんだけど、IMIMの新作が出るんだって？」

與「ん？あー、うん、そうやな。」

「見たい見たい、今度こそ買う。」

與「えー、…いまなん？」

「今だよ、明日朝から岡山でしょ。見たいー！」



心配がなくなったのか、いつものように甘えモードに入りそうになってた真司郎の気持ちを引っ張って、新作を見たいと、言えば渋りながらも
持ってきていたiPadで、写真を見せてくれる。



「メンズも可愛いんだ、」

與「Aストリート系着るやん、似合うと思うけど。」

「割となんでも着るけど、最近は多いね。」

與「MA-1と、Tシャツインでワイドパンツ。」

「えー、絶対可愛い！あ、タイトでもいいよね。」

與「あーそれなら、これやな。」



そう言いながらモデルさんが来てるTシャツをタイトスカートに入れて着ているスタイル、
これは可愛い。


與「正直これのコーディネート考えてる時、A着たら似合いそうやなって思ってた。」

「ふーん、たしかに割と着るタイプ。上メンズ？」

與「いや、レディース。でもAならストリート系でメンズ着てもええな、俺の着て。」

「わー、それも可愛いなあ。」

與「彼氏の上着着るんええやろ。袖余る感じ。」

「……自分で言ってて恥ずかしくない？」

與「…ちょっと恥ずかしくなった。」




二人して少し照れる。
iPadに再び目線を戻してから、あと小物が…と
話し始める真司郎。

まだTSに参加した人やないと知らんから、下手なこと言わんでよ。なんて言ってる真司郎は、
やっぱり好きなこと話してる時の顔になってて、

私もその顔に見惚れる。


まぁ言わないけどね。



「ファンの子に、何買いますか！って聞かれてるんだけど、」

與「知りません、言うとけ。あとで聞きます！って」

「ふふ、はーい。」




ちょっとだけ心配かけちゃったけど、
流石にこれからはその辺り見極めてわがままでも言ってみようかな、なんて思ったのは内緒で。

ファンの子には、申し訳ないけど、
まだリプに応えることはできないかな、
もうちょっとしたら、見せてもらったけど、としっかり返そう。



だから今は、



「明日何時起き？」

與「んー、6時やなぁ。」

「そっかぁ、…私も大阪だからなあ、」

與「…それまで一緒におれんねんな。」

「今日はもうちょっとわがまま言ってもいい？」

與「…、ええよ。」



少しだけ甘えてあげる。



忙しいファン思いの彼と、
そんな内緒なひとときを。






fin.

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