＊ 短編集 III

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( side you )




メンバー全員の撮影日。
和やかな雰囲気、当たり前のように真司郎が横にいて、なにを話すわけでもなく過ごしていた。

付き合ってそれなりに経って、
当たり前、というものが出来てきている。


付き合う前からの当たり前もあるけど、
付き合ってからは、

隣にいることが当たり前、
お互いの休みの前の日は必ず連絡するのが当たり前、


嫌じゃなかった、
むしろ嬉しかったことのほうが多い。


けど、


與「にっしーと撮影多ない？」

「え？普通だよ、前からそうじゃん」

與「そうなんやけどさぁ」



メンバーには聞こえないくらいの声で真司郎がそう言ってくる。

真司郎の、にっしーへのやきもちも
割と当たり前、に近くて。

でも、いつもは可愛いなと思うだけで、
やきもちなんて妬かれてもめんどくさいと思ってたけど、真司郎からのやきもちは可愛く見えてしまうのが普通だった。


「回数も増えてないし、」

與「…増えてるって絶対。」

「増えてません。…なに、どーしたの急に」

與「にっしーだけ多いなって思っただけや、」



にっしーに、やけに最近突っかかる真司郎。
たしかに前よりはにっしーとの撮影や、
曲での絡みも多くなってる気はしていた。


でも、別にそんなの比べるほど多くなってるわけではないし、

それをいうなら、



「真司郎だって、…増えたじゃん」

與「なにが？」

「…、」



実彩子ちゃんへの絡み、ちあちゃんにも合宿中、可愛い可愛いと言ってたし、
私によくいう割には思い返せば、真司郎のほうが多い気がする。

合宿で、実彩子ちゃんにも可愛いって言ってたのに、私は言われてない。

それどころか、私とは組みたくないと言ってたくらいだし。

その時は面白がって言い返してたけど。



考えれば考えるほど出てくる。
実彩子ちゃんには、嫉妬したことがあった、
でも、そうじゃなかったってわかってから、
気にはしてなかったのに。



「ちあちゃんにだって、…」

與「なに、さっきから。言いたいなら言えばええやん。」

「…なんでもない。」



やきもちなんて妬きたくない。
私の方が年上だし、余裕だったあるはずだから。

そう思うと、口から思ったことは出て来なくて。


黙ってる私に、しびれを切らしたのか真司郎は少し顔をしかめて言葉を口にした、


與「言わんとわからんのやけど。」


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