＊ 短編集 III

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想いが通じてから、時は経ち、
以前と変わらない日々を過ごしている。


気持ちはもちろん、普段の生活だって
ほとんど変わらない。


それは、君が以前から私の特別だったことを知らせてるように思えて、
それに気づいた時は少しだけ恥ずかしかった。




変わったといえば、真司郎がことの事情で海外で生活する事になっただけ。


それを知った時は、最初は思いだって大変で、
でも、話して、何度も何度も話して、
不安も何もかも拭ってくれたのはまぎれもなく真司郎だった。



それに、離れて気づく、
本当に本当に、真司郎といる時間が大切なこと。



だから、一緒にいる時は、
その時間を大切にしようと思えるようになった。

" 当たり前 "じゃなくなった時間を。





「それでね、にっしーがちあちゃんにさ、抱きついて離れなくて大変でさ」

與「なんかそれどっかで見たな。」

「あー、ライブの時だ(笑)」



グループの仕事の時と、日本で仕事がある時は帰ってくる真司郎。

次の日が移動で早くない時以外は、帰ってきたその日に私の家へと足を運んでくれる。


長い移動時間で絶対大変だろうに、


「 それでもAと会えるならええの。 」


そんなことを言ってくれる優しい人。
本当に本当に愛おしい。


付き合って時は、ちょっとだけぎこちなかったけど、
時間が経つにつれて、大切にしてくれる事もわかって、
私たちのペースでゆっくり歩いて行こう、そんな事も話した日もあった。


喧嘩して、お互いヤキモチだって妬いて、
すれ違う事も沢山、それはもう想いが通じる前からあったけど、



私に向けられるその目を見ると、
真司郎となら大丈夫だ、と思わされる。





笑顔も、涙も、分け合える。



「あ、そういえば今回どのくらいいれるの？」

與「撮影と、打ち合わせが終われば帰るかなぁ。ちょっと短いんやけど、」

「…、そっか。」

與「…A、」

「ん？」

與「ほんまごめん、…待っててくれてありがとう」

「何急に、」

與「Aがこっちで待っててくれるから、俺向こうで頑張れるんやで」

「ふふ、そうなの？」

與「そうなんやって、」



急にそんなこと言うから、どうしたのかなと思ったたけど、真司郎の顔を見れば
少しだけ恥ずかしそうにしてて、

普段言わない事も、こうして久しぶりに会うと言ってくれるようになったのは、
私が言葉にするようになってからだ。


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