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( side you. )
日高くんを送って自宅に戻ると、
玄関に座り込んで、自分のしたことに後悔をした。
言葉で伝えてほしい、その方がすきな彼で。
言葉が伝われば思いだって伝わる、
そう言う彼の声を何度も聞いた。
お風呂場に逃げ込むように入って、泣きそうな気持ちは全部流して、
いつもより大きな声で歌って、いつもより少しだけ早めに布団に入って。
少しだけ泣いて、
慣れないところに行った疲れからか、
私はいつの間にか夢の中にいた。
* * *
目が覚めると昼過ぎで、
慌てて飛び起きる、
「休みだ、…危ない、」
仕事三昧な日々が当たり前で、
休みなのに、スケジュールを確認したりしてたので、ここまでしっかりと睡眠をとったのは久しぶりだった。
携帯を見ると、一通の着信。
日高くんだ、
掛け直そう、といつものようにボタンを押そうとして、昨日のことを思い出して、ホームボタンを押す。
「…もう、ダメなのかも、」
らしくない言葉が出る、
仕事がすきな彼の未来に私がいらないなら、
邪魔する前にそこからいなくなりたい、
仕事仲間としての未来にいれるのなら、
それでも幸せなんじゃないかとふと思う。
ベッドの淵に腰をかけたままそんなことを思っているとインターホンがなる、
受話器を取って画面を見ると、
さっきまで思っていた人がそこにいて、
はい、と答えた声が震えた。
日「ごめん、開けて、」
「用は、」
日「話すから、頼む開けてA、」
周りの目もあるし、とわかったと声をかけてからキーを開ける。
少し駆け足でドアを入ってくる彼が画面に写って、
私は寝巻きのままだったので、少しラフな部屋着に着替える。
家の鍵は、彼も合鍵を持ってるから
ガチャン、と言う音と共に慌てた様子でリビングに入ってきて、
私を見つけた時の彼の顔は、
まるで迷子の子供を見つけた時の親の顔。
勢いよく抱き寄せられると、
昨日とは違う彼の匂いに、胸が締め付けられた。
日「ごめん、…本当昨日はごめん、」
「…日高くん、」
日「最悪だよな、本当、…もう、俺、突き放されても、何も言えないよ、」
「あの、ね、…」
日「…A、俺、Aの事好きだ。どんなに何を無くしても、Aだけは、無くしたくない、怖かった、…昨日のことを思い出して、」
言葉で紡いで、言葉で伝えて、
いつもの彼がそこにいて、
じんわりと暖かくなる心は隠せなかった。
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rio(プロフ) - まりぃさん» わー!ありがとうございます*久しぶりに橙色さんのお話書きました〜!嫉妬ヤキモチは当たり前の橙色さん可愛いなと思ってます!私もまりぃさんのお話大好きなので、また見に行きますねー! (2018年2月15日 12時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
まりぃ(プロフ) - V.Dの甘いお話読ませて頂きました。橙色さんは現実もこんな感じなんだろうなぁと想像できてやっぱりrioさんの世界観好きです(*´艸`*)これからも楽しみにしてますね(^_^) (2018年2月14日 23時) (レス) id: f415f217df (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - 机さん» コメントありがとうございます*そう言っていただけるだけでとても嬉しいです、良かったらまた覗きに来てやってくださいね!* (2018年2月12日 0時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
机 - コメント失礼しますm(__)mとっても面白いです!頑張って下さい! (2018年2月11日 15時) (レス) id: 799744c169 (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - mahoさん» 夜分遅く大変失礼致します!コメントありがとうございます、曲ですが当たりです!私も大好きな曲なので分かっていただけて嬉しいです!*これからもよろしくお願いします!また覗きに来てください!* (2018年2月11日 1時) (レス) id: 8574c01615 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rio | 作成日時:2018年1月21日 17時