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曲が次々と流れて、リハが進んでいく。

メンバーと歌ってる時は
とても楽しくて、1ヶ月ちゃんと頑張ってきて
よかったんだ、と思えた。

もうすぐ、ソロ曲だ。

あのあとしっかりと点検をして、
もう大丈夫です！と、あの時間違えてあげてしまったスタッフから土下座の勢いで謝られた。

スタッフが悪いわけでもない、
だけど、泣きながら謝ってくれたスタッフにも
大丈夫ですよ、と頑張りましょうね！と
言葉を添えた。

『七瀬さん、スタンバイオッケーです、あげまーす』

静かに上がる台、フラッシュバックのように
蘇る記憶と、痛み。

流される音が、遠くに聞こえる。

(こわい、)

「…っ、」

歌い出せない、声が出ない、
目線が揺らいで、流れ続ける音。

秀「A！」

「っ…しゅ、」

秀太が駆け寄ってきてくれて、
止まっていた息をする。

秀「よしよし、大丈夫だな、ゆっくり息して」

「、ごめん…」

秀「いい、いい、大丈夫だから、」

軽く抱き寄せられると、
飛ばして次にお願いします、とマイクで
スタッフさんに指示出してる秀太の横で
ゆっくりと息を整える。

(うたえない、？)

そう思うと、一気に不安がきて、
ぼろぼろと止まらない涙。

秀太に連れられて、ステージ裏の端に
座らされた。

「…、歌えない」

秀「大丈夫歌える。」

「こわい、うたえなかった、」

秀「うん、そうだな。でも歌える、」

「うたえる、かな」

秀「歌える、お前は歌が好きだし、ダンスも好き、だから大丈夫、その気持ちがあれば、」

「…秀太、」

秀「俺も、他の奴らもいる。だから、しっかりファンの前に立てる。」

「うん、…ありがとう」

秀「おし、ちょっと休んだら戻るぞ」

「うん！」

頭を撫でられると、笑顔が戻る。

大丈夫、ちゃんと歌える。
ファンのみんなに会えるのが
本当に楽しみだった。
ちゃんと謝って、またみんなの前で
8人で立てる、

大丈夫、私はAAAの七瀬A。

今度は呪文じゃなく、
しっかりと息を吐いて、つぶやいた。

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