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17 ( side Atae ) ページ20

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「どうしたの？」

與「別に。」

ちょっとぶっきらぼうすぎた。と思い
横にいるAを見ても
気にしてなさそう。

マスクだけしてて、
コンビニ行くから行こうやって言ったら
仕方ないなぁ、とついてきてくれた。

最初は誘おうとは思ってなかったけど、
ふと思い立って部屋に寄ったら
嫌がらずに出てきてくれた。

「しんちゃん、これ買って」

「りお、財布あるやろ」

「けちけち、ついてきた代金です。」

「…しゃーないなぁ、入れ」

カゴにAが飲み物を入れる。
いつも飲んでるやつだ、と思った。

外ではいつもと別の呼び方で、というのは
よくあることで、他の奴らもそうしてたりする。

「どうしたのよ、真司郎」

與「…別にって、ほんま話したかっただけやし」

「もー、甘えてくれんのはいいけど、分かりづらいんだから。本当に」

與「そういうわけやないけど、」

「今日から長いツアーなんだから、なんかあったら話してきて。無理はしないでね」

そういって、俺の頭を撫でるA。

いつのまにか年上気取りしてて、
一個しか変わらへんのに、強がって、
頼るのは俺じゃなくて、にっしーや直也くん。

気に入らへんわけやない、
でも、昔みたいに話して欲しかった。

俺やって、Aと同じように歳はたったし、
Aが頼れるくらいの男になったつもりやで。

いつだって、"年下扱い"やから。

「真司郎ってさ、どんな人がタイプなの？」

與「MCの続きか。」

「まぁねー、容姿じゃなくて、中身ね？髪長い人が好きなのは知ってるから。」

與「…笑って明るいやつ。」

「はは、典型的じゃん！(笑)」

與「一緒にいて楽しい人のがええに決まってるやろ！」

「それもそうだよね～、真司郎もいつかは誰か本当の王子様になるんだもんね。」

與「なんやねんそれ、」

「本当のことだよ。」

どんな子かなぁ～、なんて前を歩き出すA。

なぁ、その隣にはおられへんの。

そんな言葉は飲み込んで、
俺は蓋をする。

"家族5人みたいなもんじゃん"
"メンバーは考えられないよ"

それもそうやな。と
自分の中に閉じ込めて。
心地いいこの場所を
失わないように、歩くだけ。

與「Aに彼氏なんてできたら許さへんし」

「弟の分際で何を言う！」

與「…あげへん。」

「あ！ちょっと！買ってくれたんじゃん！」

せめて笑顔が絶えないように。

その願いは、少し後に
崩れることは、思ってもなかった。

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